小泉進次郎農相（４４）は２０日、東京都内で記者会見し、石破茂首相の退陣表明に伴う自民党総裁選へ立候補すると正式に表明した。公約では、インフレ下の税収増を活用して経済成長を実現すると訴え、２０３０年度までに平均賃金１００万円増を目指すとした。自民が下野した０９年衆院選で初当選した経歴を挙げ、「自民党再生の取り組みこそ私の原点だ。自民を立て直す。私は先頭に立つ決意だ」と述べた。

　総裁選の正式な立候補表明は５人目。これまでに茂木敏充前幹事長（６９）▽小林鷹之元経済安全保障担当相（５０）▽林芳正官房長官（６４）▽高市早苗前経済安保担当相（６４）――が表明し、５氏の争いとなる見通し。２２日に告示され、１０月４日の投開票まで１２日間の選挙戦がスタートする。

　衆参ともに少数与党での総裁選は結党以来初めて。連立組み替えを含めた野党連携や、経済政策などが主要なテーマとなりそうだ。新総裁の任期は、石破氏の総裁任期の残りで２７年９月末まで。

　小泉氏は会見で「年収の壁」に関連して、所得税の基礎控除を物価や賃金上昇に合わせて調整する仕組みを導入し、「来年度以降も壁の引き上げを着実に進める」と語った。ガソリン税の暫定税率も「与野党合意に基づき、速やかな廃止」をすると表明した。

　参院選で与党が公約した２万～４万円の現金給付案は「野党から反対がある。実現はなかなか難しい」との認識を示した。野党には物価高対策などで「幅広く政策協議を呼びかける」とした上で「政権枠組みのあり方も議論を深める」と連立拡大に含みを持たせた。

　一方、前回の総裁選で掲げた解雇規制の見直しは「国民に不安を与えたのも事実だ。現時点で進めることは考えていない」と事実上撤回した。他の公約も石破政権下で政府・与党が進めている施策が多く、独自色を薄めた。

　小泉氏は衆院神奈川１１区選出で当選６回。１９年に第２次安倍晋三政権で環境相として初入閣した。２４年の前回総裁選で初めて出馬。議員票はトップだったが、党員票が伸び悩み全体で３位にとどまった。父は小泉純一郎元首相、妻はフリーアナウンサーの滝川クリステルさん。【高橋祐貴、内田帆ノ佳】