「来ていいのかな」日教組大会に自民元幹事長 立場超えて語ったこと

2025/09/20 20:13 

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 日本教職員組合(日教組)の第114回定期大会が20日、東京都内で開催され、自民党元幹事長の古賀誠氏(85)が講演した。革新系の政党と近い日教組の集会で、保守系の重鎮だった政治家が講演するのは異例。古賀氏は戦後80年をテーマに講演し、平和のための政治の必要性を訴えた。

 古賀氏は父を太平洋戦争で失い、5歳で終戦を迎えた。戦時中生まれの国会議員がごくわずかになった現状に触れ、「戦争も外交で言えば理屈の一つだと考える若い人が増えた。極めて危険だ」と指摘。「戦争は憎しみと苦しむ人しか残さない」として、平和のために政治が果たす役割の重要性を強調した。「靖国は国内問題だ」とも述べ、靖国神社に合祀(ごうし)されたA級戦犯の分祀が必要だとした。

 講演後には報道陣の取材に対し、日教組と政治的立場が異なることを踏まえつつ「来ていいのかな、とも考えたが、戦後80年という戦後の節目であり、自分の考えをお話しした」と説明。自民党総裁選の候補者に対しては「一番大事なことを誰も言っていない。平和はどうするんだ、あなたたちはどう考えているんだ、と言いたい」と話した。

 日教組は古賀氏を招いた経緯について「政党や政局を超え、平和への思いを語ってもらい、私たちの運動を見直すきっかけにできればと考えた」としている。

 古賀氏は1980年の衆院選で初当選し、運輸相や自民党幹事長などを歴任。父が出征先のフィリピンのレイテ島で戦死し、政治家として一貫して平和を訴え続け、「憲法九条は世界遺産」の著書がある。2013年には共産党機関紙のインタビューで、改憲を進めようとした安倍晋三首相(当時)に反対論を唱えた。【斎藤文太郎】

毎日新聞

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