高市首相「撤回するつもりない」 台湾有事で存立危機発言巡り

2025/11/10 12:09 

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 高市早苗首相は10日の衆院予算委員会で、台湾有事になれば集団的自衛権を行使可能な存立危機事態になり得るとした自身の国会答弁について、「政府の従来の見解に沿ったものなので、特に撤回、取り消しをするつもりはない」と述べた。「最悪のケースを想定した答弁だった」と説明し、今後は「反省点として特定のケースを想定したことについて、この場で明言することは慎む」と語った。

 首相は7日の予算委で、中国による台湾の海上封鎖が発生した場合の事態認定を巡り、立憲民主党の岡田克也元幹事長に問われ、「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースだ」と答弁。首相の就任前の持論だったが、それまで現役首相が台湾有事が存立危機事態にあたる可能性を明示したことはなかった。

 この答弁について、10日の予算委で立憲の大串博志元代表代行が撤回や取り消しを要求。首相は拒んだ上で、「私は自衛隊の最高指揮官として、あらゆるケースを想定しながら、その時々に総合的に判断をしていかなければいけない。(7日は)最悪の事態も想定して、少し具体的に答弁した」と述べた。

 存立危機事態の認定に関しては「実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合的に判断する」という従来の政府見解に変更はないとの立場を強調した。台湾有事が存立危機事態になり得るとしたことは「政府統一見解として出すつもりはない」とした。【田中裕之】

毎日新聞

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