ロシアとウクライナ、インフラ攻撃の応酬激化 変電所など標的に

2025/11/10 08:47 

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 ロシアとウクライナによるインフラ攻撃の応酬が激化している。ウクライナのシビハ外相は8日、露軍がウクライナ西部の原発関連施設を標的に、無人航空機(ドローン)などによる攻撃を実施したと発表した。一方、ロシアでもウクライナのドローン攻撃によるとみられるインフラ施設の被害が相次いだ。

 シビハ氏は8日、X(ツイッター)に、露軍が7日夜から8日朝にかけ、ウクライナ西部のリウネ原発、フメリニツキー原発にそれぞれ電力を供給する変電所を標的に、ドローンとミサイルによる攻撃をしかけたと投稿。「これらは事故ではなく、綿密に計画された攻撃だ。ロシアは意図的に欧州の原子力を危険にさらしている」と批判した。

 ウクライナのエネルギー省によると、両変電所には緊急対応部隊が出動し、電力供給は安定しているが、今後、計画停電が必要になるという。シビハ氏は国際原子力機関(IAEA)に緊急会議の開催を要請するとともに、中国とインドに対し、壊滅的な事故が起きるリスクがある施設への攻撃を停止するようロシアに圧力をかけることを求めた。

 ウクライナ政府によると、7~8日の攻撃で、露軍はドローン450機以上、ミサイル45発以上を使用。東部ドニプロではドローンの攻撃でアパートが破壊され、3人が死亡し、12人が負傷した。東部ハルキウでも1人、南部ザポリージャでも3人が死亡した。一連の攻撃で、首都キーウ、中部ポルタバ、東部ハルキウでもインフラ施設が破壊され、数千人分の電力、水の供給が停止した。

 露国防省は8~9日、ウクライナの兵器工場やエネルギー施設、輸送インフラを標的に、高精度で長射程の兵器などによる大規模な攻撃を実施したと発表したが、詳細については言及していない。

 一方、ロシア各地のインフラ施設で8日夜から9日朝にかけ、ウクライナ軍のドローン攻撃によるとみられる被害が相次いだ。露南西部ボロネジでは火災が起き、一部地域で電力と暖房の供給が停止した。現地当局は複数のドローンを電波妨害で無力化したと発表した。

 また露西部ベルゴロドでも8日夜、電力、暖房の供給系統が深刻な被害を受け、約2万世帯に影響が出た。露国防省は9日、西部ブリャンスク州と南部ロストフ州で8日夜、ウクライナのドローン計44機を無力化したと発表したが、ボロネジやベルゴロドの被害については触れなかった。【ブリュッセル宮川裕章、モスクワ真野森作】

毎日新聞

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