牛肉高騰にいらだち トランプ氏が司法省に価格操作疑惑の調査指示

2025/11/08 18:40 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 トランプ米大統領は7日、自身のソーシャルメディアで、国外の食肉加工大手が牛肉価格を不正につり上げているなどとして司法省に調査を指示したと明らかにした。トランプ政権の経済政策に対する国民の不満が4日の地方選挙で共和党の敗北につながったとの見方があり、トランプ氏は牛肉の高騰にいらだちを強めている。

 トランプ氏は投稿で「食肉加工会社が人為的に価格を引き上げて、我が国の食料供給の安全を脅かしている」と主張した。ホワイトハウスは7日、ブラジル系の2社を含む大手4社が食肉加工市場の85%を占め「米国の消費者や畜産農家を搾取している」などとして司法省が独占禁止法(反トラスト法)違反の疑いで調査すると発表した。

 9月の米消費者物価指数(CPI)によると、全体で前年同月比3・0%の上昇だったのに対し、ステーキ肉やひき肉の伸び率は前年同月比で10%以上を記録した。米メディアによると、米国内の干ばつによる飼料価格の高騰や飼育頭数の減少、ブラジルへの高関税措置による輸入牛肉の価格上昇などが一因とみられるという。

 トランプ氏は10月、対策としてアルゼンチン産牛肉の輸入拡大を示唆したが、共和党支持者の多い畜産農家が強く反発したこともあって計画は進んでいない。

 トランプ氏は2024年大統領選で、当時のバイデン政権下での物価上昇(インフレ)を攻撃し、経済政策を訴えて再選につなげた。一方、NBCニュースが今月2日に公表した世論調査によると、トランプ氏の経済政策に不満とする回答(63%)が満足(34%)を大幅に上回った。

 共和党は4日のニュージャージー、バージニア両知事選とニューヨーク市長選で相次いで民主党候補に敗れている。トランプ政権の経済政策に対する有権者の不満が敗因の一つとみられている。【ワシントン金寿英】

毎日新聞

国際

国際一覧>