英BBC会長らが辞任 トランプ氏演説の「恣意的編集」報道で引責

2025/11/10 07:08 

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 英公共放送BBCは9日、トップのティム・デイビー会長(58)とニュース部門のデボラ・ターネス最高経営責任者(CEO)が辞任すると発表した。BBCのドキュメンタリー番組で、トランプ米大統領の演説を恣意(しい)的に編集し、2021年1月の米連邦議会襲撃事件を明確に扇動したように見せたと報道され、国内や米国で批判が高まっていた。

 デイビー氏は声明で「BBC全体としては良い成果を上げているが、いくつかの誤りがあり、最終的な責任は私にある」などと説明した。

 ターネス氏は声明で、問題の番組を巡る議論が「愛するBBCに損害を与えている」として自身の責任に言及する一方で、「誤りはあったが、BBCニュースが組織的に偏向しているという最近の主張は間違っている」とも強調した。

 問題となった番組は、24年の米大統領選直前の10月末に放送された。

 BBCによると、議会襲撃事件当日の演説でトランプ氏は、実際は「連邦議会議事堂に歩いて行って、勇敢な上院議員や下院議員たちを応援しよう」と述べたが、番組では「議事堂に歩いて行こう。私も一緒に行く。そして我々は戦う。死に物狂いで戦うのだ」と話したように編集されていた。50分以上離れた二つの発言部分をつなぎ合わせたという。

 英紙テレグラフは今月、BBC編集基準委員会の元外部顧問が理事会に送った内部メモの内容を基に、「BBCがトランプ氏の演説を改ざんした」と報じた。

 メモは、トランプ氏が議会襲撃をあおったように見せる意図で映像が編集されたとの疑念を呈していた。元外部顧問はBBC幹部に編集の問題点を指摘したが取り合わなかったため、理事会にメモを送ったという。

 デイビー氏らの辞任を受け、トランプ氏は9日、自身のソーシャルメディアに「彼ら(デイビー氏)は非常に不誠実で、大統領選を操作しようとした」「腐敗した『ジャーナリスト』たちを暴いてくれたテレグラフに感謝する」などと投稿した。

 議会襲撃事件を巡りトランプ氏は支持者らをあおったとして起訴されたが、24年の大統領選で勝利したため起訴が取り下げられた。【ロンドン福永方人】

毎日新聞

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