前国家公安委員長の政党支部、パチンコ会社や「幽霊会社」から献金

2025/11/27 20:58 

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 自民党の坂井学・前国家公安委員長(衆院神奈川5区)が代表を務める政党支部が、公安委員長在任期間を含む2022~24年に、パチンコ店を運営する2社から計120万円の寄付を受けていたことが、政治資金収支報告書から判明した。これとは別に、登記上は現存しない「幽霊会社」から96万円の寄付を受け取っていた記載もある。

 国家公安委員会は風営法の規制を受けるパチンコ業界を所管しており、専門家は「政治倫理上、所管企業からの献金は問題がある」と指摘している。

 「自由民主党神奈川県第5選挙区支部」の収支報告書によると、22~24年に横浜市戸塚区のパチンコ会社から毎月3万円、計108万円の寄付を受けていた。

 また、戸塚区内にある別のパチンコ会社からも24年9~12月に月3万円ずつ、計12万円を受領していた。坂井氏は同年10月から石破茂内閣で国家公安委員長を務め、同年10~12月の寄付額は計18万円となる。

 さらに、戸塚区の有限会社からも22年1月~24年8月に毎月3万円ずつ、計96万円を受け取っていた。この会社は00年2月に解散したとされ、登記は翌月に閉鎖されている。

 108万円を献金した会社の社長は、神奈川県遊技場協同組合の役員も務めている。社長は毎日新聞の取材に応じ、献金の理由を「地元議員で商店街や自治会でお世話になっていて、長年行ってきた」と説明。パチンコ業界としての要望は「ない。(坂井氏の)運動の妨げになる」と否定した。

 また、12万円を献金した会社は親族が経営していると明かした。登記上は現存しない有限会社についても「家族が役員で、実際に稼働している」と語った。

 大臣規範では「倫理の保持に万全を期すため」として、関係業者から接待や贈り物を受けるなどして「国民の疑惑を招くような行為をしてはならない」と定めている。

 一連の寄付について坂井氏の事務所は「確認に時間が必要で、28日に回答する」とした。

 政治資金の問題に詳しい神戸学院大の上脇博之教授は「国民の疑惑を招かないよう、在任中は関係する業界からの献金は辞退すべきだ」と指摘。実体のない会社からの献金については「不可解なことに対しては説明責任をしっかりと果たすべきだ」と話した。【矢野大輝、蓬田正志】

毎日新聞

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