「高市人気」にあやかる自民 中道は庶民派アピール 衆院北海道4区

2026/01/31 21:06 

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 衆院選公示翌日の1月28日。札幌市のJR手稲駅前には人だかりができていた。その視線の先にいたのは、高市早苗首相(自民党総裁)と道4区に立候補している自民前職の中村裕之氏(64)だ。

 「選挙戦2日目に私のために来てくれた」「北海道で唯一の(総裁選)推薦人」。首相目当てで集まった聴衆を前に、中村氏は首相との距離の近さを猛アピールした。

 多くの自民候補が自身の当選と高市政権の存続を結びつけて訴える今回選。「首相の側近」を自認する中村氏の陣営関係者は「(自民派閥の)裏金問題があった前回より風向きは良い」と語る。

 4区は直近2回の選挙で、中村氏と中道改革連合前職の大築紅葉氏(42)が1勝1敗。今回も接戦となる中、カギを握るのは公明党支持層の動向だ。

 道内では、自民が小選挙区の一つで候補を立てずに公明候補を支援する選挙協力を長年続けてきた。昨年、その「象徴区」を10区から4区に変更。2012年から4区で立候補してきた中村氏は比例に回り、公明道本部の佐藤英道代表を応援することになった。

 両氏は昨秋、約1カ月で選挙区内の約300カ所を一緒に回り、支援を依頼してきた。だが、10月に公明が連立を離脱し、連携は白紙に。中村氏は早々に再び4区で出馬する意向を表明した。

 この一連の騒動が従来の支持層を揺さぶっている。

 後志地方の町村部で中村氏を応援し続けてきた建設業の70代男性は、「今回だけは負けたくない」と訴える中村氏を、「なんで負けられないのか分からない」と冷めた目で見る。政党の都合で候補者を選ぶことに疑問が芽生え、今回から中村氏のポスターを自宅前に張ることはやめた。

 一方で、中村氏を支援する建設業の50代男性は「公明に振り回されて気の毒だ。勝てるのか」と漏らす。

 関係者によると、中村氏と佐藤氏は昨秋以降も良好な関係を続けてきた。立憲民主党と公明の新党結成を受けて公明支持層からの大きな得票は期待できなくなったが、陣営は中村氏の後援会にとどまる公明支持者に電話するなどしてつなぎ留めに奔走する。

   ◇

 「太いペンある?」。公示日に雪をかぶった羊蹄山を望む倶知安町で第一声を終えた大築氏は、近くの駐車場に止めた選挙カーのフロント部分によじ登った。関係者に支えられながら手書きした文字は「中道改革連合」だ。

 「手書きの選挙カー」が登場したのはその朝だった。第一声の約1時間前、雪が固まったでこぼこな路面を走っていた選挙カーの車輪が外れた。大築氏は翌日も「応急処置」で党名を書き込んだ車に乗り、街頭演説ではトラブルのエピソードを披露。だが、手書きした新党名にはほとんど言及しなかった。

 SNSには部屋着で家事をする様子を投稿する大築氏。陣営内の広報担当は前回選の4人から7人に増やした。新党に「選挙互助会」との批判もある中、関係者は「党ではなく人物を見てもらいたい」と狙いを明かす。

 別の関係者によると陣営は当初、公明側との協議で選挙協力について「表立ってガンガンやるのはどうか」と慎重姿勢も伝えていた。

 その戦い方に変化が現れ始めている。29日、公明代表で標津町出身の竹谷とし子氏が急きょ4区入りし、応援演説に立った。

 陣営関係者によると、開催が決まったのは高市首相の手稲入り後。「首相にかなり人が集まったと聞いた。こちらも対抗しなければ」と焦りをにじませる。公明との選挙活動はこの日が初めてで、今後活動を共にする機会を増やすという。

 「首相側近」と「庶民派」。対照的なアピールをする中村氏と大築氏の戦いは、2万票を超えるとされる公明票の水面下での奪い合いに発展している。

 4区にはほかに共産党新人の佐々木明美氏(65)、参政党新人の高橋翔太氏(37)も立候補している。【森原彩子、片野裕之】

 ◇北海道4区

佐々木明美65 [元]札幌市議  共新

中村 裕之64 文科副大臣 ⑤自前

大築 紅葉42 [元]総務委員 ②中前

高橋 翔太37 公認心理師  参新

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