小選挙区制の「増幅効果」は1996年以降で最大 中道に制度上の逆風

2026/02/16 20:32 

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 衆院選での自民党大勝は、一つの選挙区から議員が1人しか選ばれない小選挙区の特性上、第1党が得票率以上に多くの議席を得る「増幅効果」も影響した。小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降の衆院選で、増幅効果は今回が最大。その分だけ中道改革連合には制度上の「逆風」が吹いた。

 総務省によると今回、小選挙区で自民の得票率は49・1%だったが、追加公認の1人を除いて248議席を獲得。定数(289)に占める議席占有率は85・8%に上った。その差36・7ポイントが増幅効果にあたる。

 96年以降の衆院選で増幅効果が30ポイントを超えたのは、自民が政権奪還した2012年(36ポイント)と今回だけ。小泉純一郎首相(当時)による「郵政解散」で自民が大勝した05年は25・2ポイント、民主党が政権交代を果たした09年は26・2ポイントだった。

 高市早苗政権は歴代政権以上に制度の恩恵を得た形だが、その裏返しで議席に結びつかない「死票」も多く生まれた。

 早稲田大の高安健将教授(比較政治)は「得票率と議席占有率の差は、中長期的には政権交代にもつながり得るため正当化されるが、交代がなければ恒常的に排除される票が生まれることになる」と指摘する。

 今回、小選挙区で中道の得票率は21・6%だったが、議席占有率は2・4%(7議席)にとどまり、その差19・2ポイントが「縮小効果」として作用した。この数値も96年以降で最大だった。

 高安教授は政権交代が起きにくい背景として、政治資金の関係もあり、地方議員を多く抱える自民と比べ、野党の組織力の弱さを挙げる。政権の意向で選挙時期を選べる解散権のあり方や選挙期間の確保も、民主的な政治競争を担保するための課題だと指摘する。

 今回は解散から投開票まで16日間と戦後最短で、勝敗の濃淡も強く出た。高安教授は「現行システムをきちんと機能させることがまずは重要。小選挙区制はわずかな票差で総取りになるため、できる限りフェアな競争条件を整えなければいけない」と話した。【川口峻】

毎日新聞

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