自民PTが「内密出産」支援提言へ 「現場任せ」脱却目指し

2026/05/08 05:00 

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 医療機関のみに母親が身元を明かす「内密出産」を巡り、自民党のプロジェクトチーム(PT)が支援に向けた検討を進めている。政府予算の大枠を示す「骨太の方針」に相談窓口などへの財政支援を盛り込むことを目指し、5月中に報告書をまとめる予定だ。

 内密出産は2019年、望まない妊娠によって孤立状態で出産し、母親や赤ちゃんが危険にさらされる事態を避けるため、熊本市の慈恵病院が全国で初めて運用を開始し、これまで約70人が生まれている。現場から法整備を求める声が上がる一方、「育児放棄につながる」などの懸念もあり、政府対応は現状の追認にとどまる。「現場任せ」の状況が改善されるかが焦点となる。

 松野博一元官房長官が座長を務める自民党PTは4月6日、慈恵病院を視察し、蓮田健院長らの説明を受けた。松野氏は「行政側がどう対応していけるか論点を整理していきたい」と話した。熊本選出の坂本哲志元孤独・孤立対策担当相が主導して昨年12月にPTが発足し、関係先のヒアリングを重ねている。

 内密出産を巡っては、東京都墨田区の賛育会病院が昨年3月に全国2例目の運用を開始。大阪府泉佐野市は市内の病院と連携し、今年度中の導入に向け準備を進める。国民民主党は今国会で、内密出産ができる医療機関の確保など国の態勢整備を求める法案を提出する方針だ。

 ただ、政府の対応は見通せない。24年12月には、当時の石破茂首相が参院予算委員会で「赤ちゃんの権利、人権を最大限に重んじる法体系ができないか。政府内で検討させたい」と前向きな姿勢を示した。後任の高市早苗首相は今年4月7日の参院予算委で、内密出産の法制化に関して「さまざまな意見があり、慎重な議論が必要だ」と述べるにとどめている。【森口沙織】

毎日新聞

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