知床観光船沈没、運航会社社長を逮捕 業務上過失致死容疑 海保

2024/09/18 12:09 

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 北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没して乗員乗客全26人が死亡・行方不明となった事故で、第1管区海上保安本部(北海道小樽市)は18日、運航会社「知床遊覧船」の桂田精一社長(61)=北海道斜里町=を業務上過失致死と業務上過失往来危険の容疑で逮捕した。

 容疑は2022年4月23日、荒天が予想される中、運航管理者として出航を見合わせたり航行を中止したりするなど安全を確保する義務を怠り、カズワンを沈没させて乗員乗客を死亡させたなどとしている。1管は認否を明らかにしていない。

 小樽市内で記者会見した1管の蠣崎孝司刑事課長は、約2年5カ月に及んだ捜査について「沈没メカニズム特定のため、さまざまな鑑定や気象データ解析など、証拠を丹念に積み重ねる必要があった」と述べた。

 1管によると、カズワンは事故当日の午前10時ごろ、斜里町のウトロ漁港を出航。午後1時18分の通報を最後に音信が途絶え、沈没した。出航時点で網走地方気象台が強風・波浪注意報を出しており、1管は沈没原因を「気象の悪化による波浪の影響で船体が揺れ、ハッチ開口部から浸水した」と判断した。

 国の運輸安全委員会は23年9月に公表した最終報告書で、ハッチに不具合があり、開口部から海水が流入したことが直接的な原因と指摘していた。

 事故を巡っては、乗客遺族ら29人が運航会社と桂田容疑者に計約15億円の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴している。

 1管は事故で死亡した豊田徳幸船長(当時54歳)についても業務上過失致死容疑などで捜査を継続する。【伊藤遥、片野裕之、後藤佳怜】

毎日新聞

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