電通グループに罰金3億円求刑 東京五輪で談合の罪 検察側
東京オリンピック・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)に問われた広告最大手「電通グループ」(東京都港区)に対し、検察側は18日、東京地裁の公判で罰金3億円を求刑した。同じく独禁法違反に問われた電通元スポーツ事業局長の逸見(へんみ)晃治被告(57)は懲役2年が相当とした。弁護側は起訴内容の大半で無罪を主張し、結審した。判決は2025年1月30日。
検察側は論告で、逸見被告が、組織委員会大会運営局の森泰夫元次長(57)=独禁法違反で有罪確定=や広告・イベント各社の幹部と結託し、総額約437億円に上る契約で談合したと指摘。公正で自由な競争を骨抜きにし、人々が五輪に抱いていた信頼を損ねたと批判した。
その上で、電通が子会社を含め、談合対象の六つの会場を受注し、約76億円を売り上げて約8億円の利益を得たことにも言及。一連の談合で逸見被告や森元次長らが各社の担当者から受注希望の競技・会場を聞き取って中心的な役割を果たしたとし、「法令順守の意識の低さは顕著だ」と述べた。
一方、弁護側は最終弁論で、組織委が発注したテスト大会の計画立案業務での受注調整は認めたものの、本大会の運営業務については「主に森元次長から依頼された。談合は主導していない」と無罪を主張した。
逸見被告は「不当な利益を得るためと言われるのは、受け入れられない」と意見を述べた。
事件を巡っては、電通を含む広告・イベント6社と各社の役員ら7人が起訴されている。このうち「博報堂」は罰金2億円、博報堂のグループ会社前社長は懲役1年6月、執行猶予3年とされ、いずれも控訴している。【北村秀徳】
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