爆竹、壇上の花食べる… 逮捕者続出、平成令和の「荒れた成人式」

2025/01/13 18:47 

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 成人の日の13日、各地の自治体で「二十歳の集い」が開かれた。

 集団での暴走など、「新成人」による度を越した行為は、近年でもしばしば起きているが、警察が乗り出すような事態はめっきり減った。

 「荒れる成人式」が全国的な社会問題になったのは25年ほど前だ。式典中に爆竹を投げ込んだり、警察官ともみ合いになったり。酒だるを積んだ車で会場の車止めに突っ込む事件まで起き、全国で逮捕者が続出した。

 当時を振り返ってみた。

 ◇「おまえが出て行け」怒鳴る知事

 「常識外れ」

 出席者の、そんな感想が伝えられたのが2000年に茨城県鹿嶋市であった成人式だ。来賓あいさつの直後に出席者の中に爆竹が投げ込まれ、式典が一時中断。騒ぎが収まった後に、新成人の一人が壇上から再び爆竹を投げつけ、また騒ぎになった。

 新成人に「おまえが出て行け」と怒鳴ったのは01年、高知市の成人式に出席した橋本大二郎・高知県知事(当時)だ。

 来賓としてあいさつ中、「帰れ、帰れ」と手拍子を鳴らして騒いだ新成人4、5人に向けたものだった。

 当時、成人の日に関するニュースは、さながら「事件報道」の色合いが強かった。

 この年の高松市の式典で、市長の至近距離でクラッカーを鳴らした5人が逮捕された。他県の知事らも相次いでコメントし、文部科学省が全国調査に乗り出す事態に発展した。

 ◇沖縄では200人体制で警戒

 こうした風潮がエスカレートする中、全国的に知られたのが沖縄県の那覇市だ。

 02年、会場になった市民体育館前では、「先輩を祝うため」と、泡盛のたるを車で持ち込もうとした少年らと警察官がもみ合いになり、計7人が逮捕された。

 前年にも門扉が破壊される事件があり、機動隊と市職員が200人で警戒している中での出来事。市長は「バカ騒ぎをみて、本当に寂しいような痛々しいような感じを受けた」と嘆いた。

 こうした醜聞は海を越え、02年1月15日付の英紙デーリー・テレグラフが「酔っぱらった若者が成人式をめちゃめちゃにしている」という見出しで、日本の成人式を紹介。「他者への尊敬と忍耐こそが日本社会を機能させていると思っている人たちは失望している」と報じた。

 那覇市では翌年から市主催の成人式が中止されたが、新成人が成人の日に繁華街・国際通りに繰り出して騒ぐ様子は「風物詩」のように繰り返されることとなる。

 ◇「もっとセンスのいい騒ぎ方を」

 ただ00年代前半、新成人による騒動は特定の地域に偏ったものでもなかった。

 <式の冒頭から日本酒をラッパ飲みして奇声を上げる>(02年、福岡県田川市)

 <酔っ払って会場通路の電気スタンドを壊し、器物損壊容疑で逮捕>(02年、栃木県烏山町=現那須烏山市)

 <市長に「はげ」とやじを飛ばし、壇上に上がって垂れ幕を破り、花を食べる>(04年、静岡県伊東市)

 こうした騒乱を報じる記事は00年代後半から減り始めたが、近年もないわけではない。

 東京都東大和市では22年、成人式会場に向かう際に集団で暴走したとして、警視庁が新成人ら4人を逮捕し、男女22人を書類送検した。

 逮捕された一人は「一生に一度の成人式だから皆の前で目立ちたかった。自分たちの代が一番いい集団暴走だったということを先輩や後輩に見せつけたかった」と供述したという。

 01年、毎日新聞にはこんな評論家のコメントが載っている。

 「騒ぎを起こした連中は幼稚すぎて、弁護する気も起きない。ただ行儀良く優等生のように座ってることがええこととは思わないけど、もうちょっとセンスのええ騒ぎ方をせえと言いたいな」

【春増翔太、遠藤浩二】

毎日新聞

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