東京女子医大元理事長、業務実態ない報酬支払ったか 側近女性も捜査

2025/01/13 23:06 

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 東京女子医科大(東京都新宿区)の新校舎の建設工事を巡り、不正に1億円超の報酬を支払わせて大学に損害を与えたとして、警視庁捜査2課は13日、同大の元理事長、岩本絹子容疑者(78)=東京都江戸川区=を背任容疑で逮捕した。警視庁は不正な報酬の一部が、岩本容疑者に還流されたとみている。

 逮捕容疑は2018年7月~20年2月、新校舎「弥生記念教育棟」「巴研究教育棟」の2棟の建設工事で、1級建築士で東京都台東区の建築会社社長の男性(68)に業務実態のない「建築アドバイザー報酬」を約20回にわたって支払うなどし、大学に計約1億1700万円の損害を与えたとしている。警視庁は認否を明らかにしていない。

 捜査関係者によると、岩本容疑者は事件当時、副理事長や理事長を歴任し、施設管理などを担当する経営統括理事も兼務していた。男性は16年4月に大学に非常勤で採用され、給与とは別に建築アドバイザー報酬を受け取っていた。

 警視庁は、男性と、報酬支払いの稟議(りんぎ)に関わった当時の経営統括部次長で岩本容疑者の側近の女性(52)についても、背任容疑で任意で捜査。資金の流れや使途も調べる。

 男性は18年7月から約4年間で給与とは別に建築アドバイザー報酬として計約3億1000万円を受け取っていた。警視庁は今回立件した新校舎2棟の他にも、実態のない業務に報酬が支払われた可能性があるとみている。

 大学を巡っては、23年3月に卒業生の一部が、大学の不透明な資金の支出を問題視して背任容疑で岩本容疑者を警視庁に刑事告発。24年3月には、警視庁が一般社団法人法違反(特別背任)の疑いで、大学本部や岩本容疑者の自宅などを家宅捜索した。【遠藤龍、菅健吾】

毎日新聞

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