米、AI向け半導体の輸出可否で国を3分類 敵対国への流入阻止

2025/01/13 20:00 

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 バイデン米政権は13日、人工知能(AI)に使われる先端半導体の新たな輸出規制策を発表した。信頼できるパートナー国▽武器輸出を禁止する敵対国▽その他の国――の3グループに分類し、パートナー国へのの輸出を認める一方、敵対国への輸出を禁止する。敵対国への密輸を防ぐため、圧倒的多数を占める「その他の国」への輸出にも規制をかける。

 発表によると、パートナー国は、英仏独伊などの欧州主要国や日本、韓国、台湾、豪州、カナダなど約20カ国・地域。敵対国は中国、ロシア、北朝鮮、イランなど約20カ国・地域。その他の100を超す国には、一定量を上回る輸出を制限する。インドやブラジルなど地域の経済大国もこのグループに含まれる。

 化学兵器の開発などにも使われるAIが敵対国に悪用されることによる国家安全保障上の脅威を取り除くのが狙いだ。米国は既にAI向け先端半導体の敵対国への輸出を禁じているが、他国を経由した「抜け穴」を防ぐため、規制の網を広げることにした。

 米半導体大手エヌビディアなどが生産する製品が対象で、一定の性能を下回る半導体やゲーム向け半導体などは対象外とした。

 レモンド商務長官は声明で「最も進歩したAI技術を保護し敵対国の手に渡らないようにすると同時に、パートナー諸国と広くAIの恩恵を共有できる」と意義を強調した。

 政権交代を20日に控えていることを踏まえ、120日間と異例の長さの意見公募期間を設ける。政府高官は「次期政権には多くの専門家の意見を聞くなど、公募期間を活用してほしい」と話した。

 国際的な半導体ビジネスを展開するエヌビディアなどは、この規制案に反発している。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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