金箔巻きやミニサイズ、コラボ商品も 早くも恵方巻き商戦激化
2月の「節分の日」にその年の縁起のいい方角を向いて食べる「恵方巻き」。コンビニエンスストアや百貨店では商戦が早くも熱を帯びている。物価高で消費が二極化する中、手ごろな商品から1本1万円超の高級品まで価格の幅も広がっている。
恵方巻きの起源は江戸時代の大阪の商人文化だったとの説もあり、関西地方で節分の行事として親しまれてきた。1998年にセブン―イレブン・ジャパンが全国販売を始め、2000年代以降、「恵方巻き」として全国で定着した。
当日の店頭の混雑を避けるため、小売り各社は予約販売に注力している。大手スーパーやコンビニ各社は12月から予約受け付けを続々と開始し、年明けから店先にのぼりを掲げる店も増えている。特に今年の節分は2月2日の日曜日ということもあり、百貨店などの期待は熱い。
大丸東京店では、予約商品を含め計100種類と過去最多の品ぞろえとなった。売れ筋は2000~3000円だが、中トロやトラフグなど高級食材を金箔(きんぱく)ノリで巻いた1万2800円の目玉商品も。担当者は「新型コロナウイルス禍以降、家族と楽しめる縁起物として好調です」と話す。
コンビニでは「価格にシビアなお客様も取り込みたい」と手ごろな商品にも力を入れる。ミニサイズのサラダ巻きを399円で販売するのは、セブン―イレブンだ。ファミリーマートは「刀剣乱舞ONLINE」とのコラボ商品(2本2000円)、ローソンは焼き肉店や韓国料理店などが監修した商品など、差別化を図ろうと必死だ。
小売業界が恵方巻きに力を入れるのは「歳末商戦や初売りが終わり、消費が落ち着く2月を支えてくれる人気の催事」(スーパー関係者)だからだ。イベントの経済効果に詳しい関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると、24年の恵方巻きの国内売上高は326億円。「一つの商品の1日の売上高としては驚異的」(宮本氏)と言える。
ただ、売れ残った恵方巻きの大量廃棄も社会問題となっており、宮本氏の試算では廃棄だけで13億円分に上るという。各社が予約販売に力を入れるのには、廃棄を極力、減らしたいという思惑もありそうだ。【久野洋】
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