宮崎の地震で「津波心配なし」から注意報発表 なぜ一転?
13日夜に宮崎県で最大震度5弱を観測した地震で、気象庁は当初、津波の心配はないとしたが、地震発生の10分後に一転して高知県と宮崎県に津波注意報を発表した。実際に宮崎県で最大20センチ、高知県で同10センチの津波が観測された。気象庁は「再評価によって事後的に津波注意報などを出すことはある。油断せず継続的に最新の情報を確認してほしい」と呼びかけている。
地震は13日午後9時19分ごろに発生。気象庁は3分後の同22分に出した「震源に関する情報」に「この地震による津波の心配はありません」と記載し、報道各社も速報した。
ところが、気象庁は同29分、高知、宮崎両県に津波注意報を発表。新たに得られた解析結果を踏まえ、地震の規模を示すマグニチュード(M)が6・4から6・9に修正されたことが理由だという。過去の地震でも警報の種類や範囲を変更したケースはあるといい、気象庁の担当者は「今後も同様の変更はある」と強調。今回の地震はその後、M6・6に再修正された。
ただ、津波注意報の有無は住民の避難行動に大きな影響を与え、発表が遅れれば逃げ遅れる危険性は高まる。今回、津波が宮崎港(宮崎市)に到達したのは注意報のわずか7分後だった。
日向灘沿岸の宮崎市内海の野島地区で青島21区の自治会長を務める河野武嗣さん(72)によると、自治会では津波の恐れがある場合は防災無線で住民に避難を呼びかける態勢を取っているが、今回は津波注意報が当初出なかったことや地震が夜間だったことから見合わせた。
河野さんは「大変悩んだ。大きな津波が来て被害が出ていたら一生後悔した」と振り返る。「高齢者が多く、最新の情報を得るのが難しい人もいる。注意報が出なくても自治会として事前に避難の判断をすることも検討したい」と話した。【田崎春菜、平川昌範】
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