相馬野馬追、女性の出場条件から「未婚の20歳未満」を撤廃

2025/02/22 15:02 

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 国の重要無形民俗文化財に指定されている福島県相馬地方の伝統行事「相馬野馬追(のまおい)」の主催団体は22日、会合を開き、「未婚の20歳未満」という女性の出場条件の撤廃を決めた。条件が1984年に明文化されて以来初の変更。近年は男女平等や出場者数の確保の観点から緩和を容認すべきだとの声が上がっていた。今年の開催は5月24~26日。

 野馬追は1000年以上の歴史があるとされ、甲冑(かっちゅう)姿の騎馬武者が打ち上げられた旗を奪い合う行事で知られる。猛暑を避けるため、7月だった恒例の開催時期を昨年から5月に変更している。

 南相馬市博物館によると、女性の出場は1947年に解禁され、53年に初めて成人女性が出場した。その後の記録は乏しいが、84年に「未成年の未婚者」「化粧をしない」の条件が「騎馬会決定事項」で明文化され、20歳以上の女性は出場できなくなった。

 ただ、昨春に条件緩和を求める意見が出たため、主催団体である一般社団法人「相馬野馬追」や、騎馬武者として野馬追に参加する人たちで構成される騎馬会が検討していた。

 新たな出場条件は「性別・年齢を問わず、武士らしさ▽技術力▽健康面▽社会性――などを勘案し、出場者の適格性を判断する」などと定められた。

 女性の化粧や髪形については、「五郷」と呼ばれる5地区の騎馬会で対応が異なるなど、あいまいな点があったが、統一的な決まりを3月までに設けることも検討する。

 女性の条件緩和は2016年などにも議論されたが、相馬野馬追保存会や騎馬会が反対して実現しなかった経緯がある。今回も騎馬会から現状維持を求める意見もあったが、五郷騎馬会長会が意見をまとめた。

 同会の門馬光清会長は(67)は「長らく議論されてきた問題だったが、ジェンダーの観点もありオープンになった。10代から出場してきた女性たちの門戸が広がるのはよいことだ」と話す。乗馬の技術も求められるため、「大きく出場数が増えるわけではないだろう」とも続けた。

 19歳まで出場していた女性(27)は「40代でも出たい女性はいる。女性の出場者が増えれば、さらに迫力ある野馬追になる。私も出たい気持ちがある」と期待する。

 昨年6月に主催団体が行ったアンケートでは女性の出場経験者の8割が20歳以上での出場に前向きな意思を示していた。【尾崎修二】

毎日新聞

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