天皇陛下、65歳に 戦後80年にあたり「平和愛する心」に言及

2025/02/23 00:00 

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 天皇陛下は23日、65歳の誕生日を迎えられた。陛下は20日に皇居・宮殿で記者会見に臨み、戦後80年を迎えるにあたり「亡くなられた方々や、苦しく、悲しい思いをされた方々のことを忘れずに、過去の歴史に対する理解を深め、平和を愛する心を育んでいくことが大切」と述べた。自身の役割については「日本国及び日本国民統合の象徴として、上皇陛下のお気持ちをしっかりと受け継ぎ、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、責務を果たすべくなお一層努めてまいりたい」と決意を語った。

 陛下は戦争を体験していない世代になるが、「広島、長崎、沖縄などを訪れ、多くの方々の苦難を心に刻んできています」と述べた。戦争の記憶が薄れつつある現在、「若い人たちが戦争を知ろうとし、次の世代の語り部として育ち、戦中・戦後の苦労を語り継ぐ活動が進められていることは、戦後80年を迎える今日(こんにち)、一層意義深い」と語り、若い世代の動きに期待をかけた。宮内庁は今年、硫黄島や広島、長崎、沖縄で天皇、皇后両陛下が戦没者を慰霊する日程を調整している。

 この1年で印象に残った出来事で真っ先に挙げたのは各地で起きた自然災害で、「将来起こりうる南海トラフ地震や首都直下地震などに対して、今一度私たちの備えを確認する必要がある」と話した。また、戦争や紛争で多くの命が失われている状況に心を痛め、「異なる価値観を尊重して受け入れる寛容な社会と平和な世界を築いていくため、国際社会でのなお一層の協力や協調が求められている」と訴えた。

 ご家族については「絆(きずな)と感謝」を感じる日々で、「時間が取れるときには、犬の由莉や猫のセブンも交えながら3人で和やかに過ごしている」と話した。長女愛子さま(23)は勤務先の日本赤十字社から帰宅するとどんな仕事をしたか話してくれるといい、陛下は「私自身、社会人として仕事をしたことがないので、話の一つ一つに非常な新鮮さを感じる」と笑顔を見せた。陛下は側近に愛子さまから聞く職場の話が「未知の旅のように感じる」と話しているという。

 また、皇室へのバッシングとも取れるインターネット上の情報について問われ、「自分の意見や考えを自由に表現できることは、憲法が保障する基本的人権」と述べた上で、「一般論になりますが、ほかの人に対して意見を表明する際には、時に、その人の心や立場を傷つけることもあることを常に心にとどめておく必要がある」と指摘した。【高島博之、山田奈緒】

毎日新聞

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