「幻の魚にしない」北海道むかわ町、11月1日を「ししゃもの日」に

2025/03/23 10:42 

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 シシャモが特産品の北海道むかわ町は11月1日を「ししゃもの日」とする条例を制定した。資源量が減少し、2年連続で休漁となっている中で、あらためて町民にシシャモへの関心を高めてもらう狙いがある。

 シシャモの水揚げは半世紀ほど前に178トンを記録したが、2020年に3トン、21年に1・4トンと低迷。22年は100キロにも届かず、23年と24年は休漁となった。夏の海水温が高く稚魚が生き残れなかったのが原因とみられている。

 シシャモは北海道の太平洋沿岸でしか取れない日本固有の魚だ。水揚げ量としては道東が多いが、むかわ産は早くからブランド化に取り組み知名度が高い。「他地域より漁の開始が早く、札幌圏に近いことで普及した」との説もある。

 町は3月議会に25年度の新規事業として、「未来につなぐ鵡川ししゃもプロジェクト」を提案。420万円を計上し、町民を対象としたシシャモの購入額割引や購入者への送料支援などを行う。「ししゃもの日」はその一環で、秋の風物詩でもあるすだれ干しに見立て「1」並びの日とした。

 11月はシシャモの旬の時期。すでに11月7日は「釧路ししゃもの日」(釧路地域ブランド推進協議会が制定)、11月11日は「白糠ししゃもの日」(白糠漁協が制定)だが、むかわ町のように条例で定めたのは全国でも初めてだ。町農林水産課の飛岡雅幸主幹は「鵡川漁港では他にもさまざまな水揚げがあるが、やはり町にとってシシャモは特別。“幻の魚”にしないために取り組みたい」と話している。【平山公崇】

毎日新聞

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