元裁判官に有罪判決 金融庁出向中にインサイダー取引 東京地裁

2025/03/26 11:33 

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 企業の未公表の株式の公開買い付け(TOB)情報を基にインサイダー取引をしたとして、金融商品取引法違反に問われた裁判官出身の元金融庁職員、佐藤壮一郎被告(32)=懲戒免職=に対し、東京地裁は26日、懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円、追徴金1020万円(求刑・懲役2年、罰金100万円、追徴金1020万円)の有罪判決を言い渡した。

 起訴状によると、佐藤被告は金融庁企業開示課課長補佐だった2024年4月中旬~9月上旬、職務で知った公表前のTOB情報を基に、計10銘柄1万1800株を約952万円で買い付けたとされる。

 検察側は公判で、佐藤被告が24年4月に金融庁に出向して間もなく「有名ではない銘柄で少額ならインサイダー取引が発覚しない」と考え、TOB情報を基に企業の株を自身名義の証券口座で買い始めたと説明した。

 24年9月までに計約550万円の売却益を得て、別の株の購入やクレジットカードの支払いに充てたとし、「法律に従う裁判官から出向中の立場での犯罪で、投資家の信頼を低下させた」と非難していた。

 佐藤被告は起訴内容を認め、不正に及んだ動機を「両親や子どもの将来に備えてという目的意識に駆られた」と振り返り、「間違った甘い考えと、規範意識が低かったことに尽きる」と述べた。

 弁護側は最終弁論で執行猶予付きの判決を求め、佐藤被告は最終意見陳述で「強く反省している。人生を懸けて償っていく」と謝罪していた。【北村秀徳】

毎日新聞

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