キャリーバッグの「落とし物」増加 福岡・博多、中身空っぽの物も

2025/03/29 07:45 

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 旅行や出張で、多くの荷物を運ぶのに便利なキャリーバッグ。大きく、持ち運ぶのに注意を払いそうだが、警察に「落とし物」として相次いで届けられている。2024年に福岡県警に届けられたのは、過去5年間で最多の746個。一方、落とし物が保管されている警察署の倉庫を訪ねると、ずらりと並べられたキャリーバッグの中に、中身が空っぽな物も目についた。

 福岡空港に近く、新幹線が通るJR博多駅が管内にある博多署(福岡市博多区)。3月下旬、落とし物を保管している署内の倉庫を訪ねると、約40個のキャリーバッグやスーツケースが一角にまとめられていた。博多署員は「感覚的には月に30個ほど届けられている」と明かした。

 県警によると、24年に県内で「遺失物」として届けられたキャリーバッグ(スーツケースを含む)は計746個。新型コロナウイルス感染拡大前の19年(587個)より増加し、コロナ禍の21年(381個)比では約2倍に増えた。博多署によると、新幹線やタクシーのトランクに忘れ、警察まで届けられることがあるといい、外国人が多いなどの傾向はないという。

 一方、中身が詰まった大切なキャリーバッグを落としたとすれば、落とし主は困りそうだが、県警によると返還率は5割程度という。博多署に保管されているキャリーバッグをよく見ると、一部が壊れていたり、中身が空っぽだったりするケースも目についた。

 県警ホームページから落とし物を検索すると、キャリーバッグが拾われた場所には「路上」などがある。落とし主が判明していないため定かでないが、旅行先で壊れたため買い替えるなどし、不要となったキャリーバッグを放置した可能性も捨てきれない。それらが落とし物として届けられている可能性もある。

 警察は保管期限の3カ月間に落とし主が見つからなければ、拾った人が所有権を訴えるなどしない限り、売却や処分している。貴金属類は売却しやすいが、使い古されたキャリーバッグは売却の見込みが低く、19~24年に県警が売却した例はないという。

 博多署の田中英子会計課長は「県警のホームページで色や特徴などを公表しており、落とした人がいれば確認してほしい。いつごろ、どこでなくしたかなど連絡いただければ探しやすく、お返しできる」と呼びかけている。【宗岡敬介】

毎日新聞

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