議員「欠席理由」に育児・介護なし 地方議会が先行 遅れる国会は
出産などを理由に議員が議会を欠席する際のルールについて、国と地方で格差が生じている。地方議会では出産だけでなく育児や介護、配偶者の出産補助などを理由に欠席できると明記する規則改正が進む一方、国会では取り組みが遅れている。女性の政治参加を後押しする観点からも、規則改正を進めるべきだと指摘する声が上がっている。
内閣府によると、2024年10月の衆院選で、衆院の女性議員比率は前回(21年)の9・7%から15・7%に上昇した。ただ、各国と比べると186カ国中139位にとどまり、フランス(37・8%)やドイツ(35・1%)、米国(29・4%)など欧米との差は大きい。
人口減少が加速する地方では危機感が強い。地方議会の女性議員比率は17・4%(23年12月現在)。女性が一人もいない「女性ゼロ議会」は14市議会、210町村議会に及ぶ。全国町村議会議長会は27年4月までに、全国の町村議会の3割が定員割れなどで無投票になる可能性があるとして、女性や若者が参入しやすい議会改革を呼び掛ける。
課題の一つが育児や介護などで議会に出られない時に休みやすい環境作りだ。
橋本聖子女性活躍担当相(当時)は21年1月、議会規則に出産や育児、介護などを欠席理由として明記し、産前産後期間にも配慮するよう全国都道府県議会、市議会、町村議会の3議長会に要請した。それまでは「出産その他の事故のため出席できないとき」としか定めていないケースが多く、出産経験のある地方議員らの団体が「ためらいなく産前・産後休暇を取れるようにしたい」などと改善を求めていた。
この結果、24年7月時点で地方議会の8割以上が育児や介護も明記した規則に改正。配偶者の出産や家族の看護については取り組みに差があり、加藤鮎子女性活躍担当相(当時)が同年9月、改めて配慮を要請した。
◇国会は出産を「事故」と表記
一方、国会は旧態依然としている。衆議院規則は「議員が事故のため出席できなかったとき」に欠席届を議長に提出するよう求め、それ以外は出産について事前に日数を定めて欠席届を提出できると定めているだけ。参議院規則も「公務、疾病、出産その他一時的な事故」の場合に欠席届の提出を求める規定しかない。
衆院事務局は取材に「理由によって欠席届が受理されないことはなく、育児や介護のための欠席も可能だ」と説明。参院事務局は規則で「その他」としている欠席理由について「事務局として明示できるものはない」とする。
両院の規則に「出産」が明記されたのは衆院が01年、参院が00年で、24年までに出産を理由に欠席届を出した議員は衆院9人、参院7人にとどまる。育児や介護など他の理由で欠席したケースがあるかどうかは「非公表」としている。
女性の議員・候補を支援する団体「Stand by Women」の浜田真里代表は「規則に欠席理由が明記されていないと休みを取るのが当事者任せ、自己責任になってしまう」と指摘。「任期中の出産・妊娠は絶対しないでくれ」と同僚や有権者に言われたと女性議員から相談を受けたことがあるといい、「『議員は24時間365日働くもの』という昭和の価値観を率先して変える必要がある」と話す。【安部志帆子】
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