熊本地震で大被害の熊本城 9年たって復旧進んだ?いつ終わる?

2025/04/16 06:00 

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 Q 熊本地震から9年がたったね。地震では熊本城にも大きな被害が出たよね?

 A 最大震度7を2度観測した2016年4月の地震では、熊本市にある熊本城でも1607年の築城時からの姿を保っていた宇土櫓(うとやぐら)など重要文化財13棟全てが損壊しました。「武者返し」と呼ばれる美しい曲線を描く石垣も一部が崩落するなど全体の3割に被害が出ました。

 Q 復旧は進んでいるの?

 A シンボルの天守閣も大天守最上階の瓦がほとんど落ち、石垣の一部が崩れましたが、最優先で復旧工事が進められ、21年3月に完全復旧しました。大小二つの天守に次ぐ「第3の天守」と呼ばれる宇土櫓は、建物を覆う「素屋根」の中で解体保存工事が実施され、32年度に復旧が完了する予定です。重要文化財の田子(たご)櫓など五つの櫓でも復旧作業が進んでいますが、まだほとんど手つかずのところもあります。

 Q 見学はできるの?

 A 大天守の外観修復が終了した19年10月から有料エリアへの入園が一部再開され、20年6月には地上6メートルの特別見学通路「空中回廊」の運用が始まって城域を回りながら復旧が進む様子を見ることができるようになりました。現在は天守閣の内部にも入ることができ、インバウンド(訪日外国人客)を含め、多くの観光客でにぎわっています。24年度の入園者は約142万人で、地震後の最多を更新しました。

 Q 全体の復旧が終わるのはいつになるの?

 A 52年度の見通しです。熊本城のような大規模な被災からの復旧は例がなく、石垣の安定性についての評価方法や復旧手法の検討、建造物の耐震対策の検討などに相当な時間がかかるそうです。市の熊本城総合事務所は「復旧は世代をまたぐ事業」とし、県内の工業高校生に復旧現場を見学してもらうなど人材育成にも力を注いでいます。回答・野呂賢治(熊本支局)

毎日新聞

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