iPSでパーキンソン病「治療に効果」 患者の抱いた期待と不安
iPS細胞が、パーキンソン病治療に効果がある――。京都大の研究チームが発表した治験結果に、患者やその家族らからは期待する声が相次いだ。一方で、症例数の少なさなどから不安を訴える意見もあった。
患者団体「全国パーキンソン病友の会」京都府支部の副支部長を務める吉岡和彦さん(66)は「少しでも改善する望みがあるならば、治療を受けてみたい」と喜んだ。妻澄恵さん(66)も「本当に治療が受けられるようになれば、待ちに待ったという気持ち」と声を弾ませる。
和彦さんは42歳の時にパーキンソン病と診断された。「頭が真っ白になった」。根治療法もない上、当時、長女は高校受験を控えていた。薬を飲みながら、会社にも子どもにも病気のことを隠し続けたが、4年後に会社から転勤を言い渡された。単身赴任の生活は不安が大きく、転職を余儀なくされた。
和彦さんの主な症状は、身体が動かしにくくなる「無動」。京大病院には10年以上通い続けているが、症状も重くなりつつある。急に足がすくんで転倒するため、頭には生傷が絶えない。長距離の歩行も厳しくなってきた。「『パーキンソン病はすぐに死ぬ病気じゃない』、『命は全うできる』と言われるが、病気が進行する過程は人それぞれ。先の見えない恐怖はつきまとう」と話す。
服薬以外の治療法には、脳に電極を埋め込み、電気刺激で症状を改善させる「脳深部刺激療法」があるが、抵抗感は拭えない。「細胞移植で済めば、患者の負担も減る」と期待を寄せる。
ただ、今回の治験は症例数が7例と少ない。京都市北区の女性患者(68)は「期待よりも不安が大きい」と複雑な思いを口にする。
52歳で診断され、今では1日6回、薬を服用し症状を抑えている。ただ、最近は服用から1時間半程度で効果が切れ、体がこわばるようになってきた。
発症から20年近くたち、車椅子を使い始めたり、寝たきりになったりした知人も多い。それでも「少しでも進行を遅らせたい」と、週に1、2回はジムに通う。副作用が出る可能性があるため、今より薬の量を増やさないことが目標だ。
その中で耳にした今回の治験結果。「実用化されれば、大きな希望」と期待を寄せるが、「少し早すぎるのでは。もうしばらく様子を見たい」と慎重に受け止める。【中村園子】
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