電子レンジ応用で捜査迅速に 福岡県警科捜研の研究員が博士号取得

2025/04/19 07:45 

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 マイクロ波で食品などを温める電子レンジの原理などを用いて成分分析作業を簡略にする方法を開発した福岡県警科学捜査研究所(科捜研)の法医科専門研究員、毛利公幸(ひろゆき)さん(49)が3月、九州大大学院の創薬科学博士号を取得した。今後実用化されれば、捜査の迅速化や科捜研職員の負担軽減につながるという。

 対象は、街路樹を枯らすといった器物損壊事件や誤飲事案などで原因物質となる除草剤。鑑定資料から主成分グリホサートを抽出する工程の一つである加熱作業は、これまで専用機器で30分かかっていたが、毛利さんは電子レンジで代用して25分短縮して5分でできる方法を開発した。

 また一般的に抽出作業は成分別に異なる方法を用いるが、二酸化チタンの水素イオン濃度(pH)を変化させて、全く構造式が異なるグリホサートとパラコートなどを一度に分析できる手法も編み出した。

 抽出結果が裁判で証拠として採用されるには手法の根拠も重要視されるため、実際に実用化されるためには今後、学術雑誌に掲載されるなどして一般的手法として認められる必要がある。毛利さんは「今回の成分分析方法が全国の科捜研に広がってほしい」と話した。【川畑岳志】

毎日新聞

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