東京・俳優座劇場が千秋楽 71年間の歴史に幕 拍手と涙に包まれ

2025/04/19 19:43 

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 今月末で閉館する東京・六本木の俳優座劇場の最終公演「嵐 THE TEMPEST」(シェークスピア作)が19日、千秋楽を迎え、71年間約3500公演の歴史に幕を下ろした。300席を埋め尽くした観客は総立ちで拍手を送り、紙吹雪が舞う中、カーテンコールが何度も繰り返された。

 劇場は敗戦から10年もたたない1954年、劇団俳優座の俳優らの尽力などで建設され、新劇の黄金時代をけん引した。80年に建て替えられ、現在のビルの中の劇場となった。俳優の息遣いが感じられる空間は多くの名舞台を刻み、俳優や観客に愛されてきた。閉場は老朽化などのためという。

 「嵐」はシェークスピアが単独で執筆した最後の作品とされ、君主の座を奪われたプロスペローの恨みから、ゆるし、愛が描かれる。10日に始まった最終公演は、追加公演も含めて全席完売。劇場そのものを劇世界に見立てた演出で、外山誠二さん演じるプロスペローによる「私に自由を」という最後のセリフが発せられると、劇場は拍手と涙に包まれた。【濱田元子】

 ◇俳優座出身の俳優で無名塾主宰の仲代達矢さんの話 

 まさに青春の場所です。思い出がいっぱいです。1952年に俳優座養成所に19歳で入り、22歳の時に俳優座に入れてもらって、79年、46歳までいました。いま92歳で、5月からの「肝っ玉おっ母と子供たち」再々演の稽古(けいこ)をしていますが、ここまでやれたのは俳優座、俳優座劇場のおかげです。劇場がなくなることはとても寂しいと思っております。

毎日新聞

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