情報公開担当の元室長 請求者の個人情報を違法収集 名古屋市が処分

2025/04/17 11:06 

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 名古屋市で情報公開などを担当する市政情報室長(当時)が昨年、市の保育園の入園手続きを巡り情報公開請求した50代男性の人物像を探るため、別の部署の課長(同)を通じて男性の個人情報を違法に収集していたことが17日、市などへの取材で判明した。市は個人情報保護法などに抵触することを認め、男性に謝罪するとともに、2人を厳重注意処分にした。

 市などによると、男性は子供の保育園の入園を巡り、不要な書類の提出を求められているなどとして、2023年ごろから市に不服審査や情報公開請求などを行っていた。

 市政情報室長は昨年1月ごろ、男性の氏名をインターネットで検索し、男性の職場を特定。職場の関係者と接点があった市消費生活課長に、男性が実際にそこで働いているかどうかや、男性の人物像などを探るよう依頼した。課長は男性の職場の職員と接触し、男性に講演を依頼するふりをして男性の情報を聞き出し、室長に伝えていた。

 しかし、その後も市から正式な講演依頼がないことを不審に思った男性が昨年3月、市に苦情を申し立てたところ、市が違法に情報収集していたことを認めたという。

 個人情報保護法は、業務で知り得た個人情報を他人に知らせたり、不正な手段で公人情報を取得したりすることを禁じている。

 市は今年3月、2人の行為が同法や地方公務員法に抵触するとして男性に謝罪。当時の室長と課長については、所管するスポーツ市民局長の厳重注意にした。

 男性は毎日新聞の取材に「個人情報の保護を取り扱う部署の職員が違法な情報収集をしていたことは信じがたい。なぜ、このようなことをしたのかについて市から一切説明がない」と憤りをあらわにした。

 市政情報室は「個人情報を取り扱う部署でこのようなことが起きたことを重く受け止めたい。職員には法の趣旨を周知させ、再発防止に努めていきたい。男性への説明が不十分だとの指摘に対しても反省し、真摯(しんし)に対応していきたい」と話している。【式守克史】

毎日新聞

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