リボン購入→子どもの一食に 飲食店の「フードリボン」全国に拡大

2025/05/22 09:45 

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 飲食店で利用客が300円のリボンを「先払い」で購入することで、子どもたちの一食を賄う「フードリボン」の取り組みが広がっている。2021年、千葉県市川市の一般社団法人「ロングスプーン協会」が始め、準備中も含めて全国の250店舗が参加している。

 厚生労働省によると、21年の18歳未満の相対的貧困率は11・5%。子どもの約9人に1人、ひとり親家庭に限ると半数近くが貧困に陥っている。

 こうした背景から、地域の子どもたちに食事を提供する「こども食堂」が増加し、支援団体の調査によると全国で6000カ所以上にのぼる。

 コンビニ大手のファミリーマートも「こども食堂」のイベントを展開。こうした動きを知った橋本展行さん(57)は、子どもの貧困やフードロス問題の解決に役に立ちたいと考えた。脱サラし、ロングスプーン協会を設立。代表理事を務める。

 橋本さんが考案したシステムはこうだ。飲食店の利用客が、飲食代とは別に300円支払うごとにリボン1個が店内に掲げられる。各店の取り組み時間に応じて来店した中学生までの子どもが1個のリボンで1食分の食事ができる。

 協会事務局長の加藤紘章さん(28)によると、多世代が交流する場所にもなっているこども食堂に対して、フードリボンは「今日の一食を支えるセーフティーネット」の役割を重視し、統一した仕組みで展開しているという。

 参加店舗を増やすため、交流サイト(SNS)での発信や、自治体との提携強化にも力を入れている。店舗数は、全国約1万9000の小学校区に1店舗ずつの展開を目指している。

 岐阜市の「cafe de Angel」は24年9月からフードリボンに取り組んでいる。これまでに10数人の子どもたちが利用したという。今のフードリボンメニューは、ご飯、唐揚げ、汁物。経営者の藤井美奈子さん(57)は「子どもが1人で来店しても食事ができる仕組みがいい」と話している。【黒田麻友】

毎日新聞

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