2局連続の千日手成立 永瀬九段の封じ手には驚きの声 名人戦第5局

2025/05/30 12:59 

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 藤井聡太名人(22)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦し、藤井名人の3勝1敗で迎える第83期名人戦七番勝負の第5局(毎日新聞社、朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、茨城県古河市など地元主催)が30日午前9時、古河市のホテル山水で再開された。永瀬九段の封じ手4八飛以降、同一局面が繰り返され、午前10時59分に千日手が成立した。持ち時間各9時間のうち千日手局の消費時間は永瀬九段5時間7分、藤井名人4時間42分。手番を入れ替え、藤井名人の先手で午前11時半から指し直す。

 永瀬九段の得意戦法である角換わりを受けて立った藤井名人は、玉を戦場からあらかじめ逃がす右玉に構えた本局。1日目は先手番の永瀬九段が本格的な戦いに踏み切れるかどうかの駆け引きが続いたが、藤井名人が飛車を転回し、2筋からの攻めを見せた局面で封じ手となっていた。

 封じ手の4八飛を見て控室では「誰も言っていなかった手だ」と驚きの声が漏れた。「後手の攻めより4六金からの攻めが早いと主張する決断の手。藤井名人は予想していなかったはず」と解説の千田翔太八段。藤井名人は30分考えて2筋の攻めを決行せず飛車を8筋に戻し、永瀬九段も30分近く考えて飛車を元の位置に戻すと、「あー」と悲鳴に近い声が上がった。

 千田八段は「永瀬九段は後手の2一飛の形が悪いと主張して飛車を4筋に回ったが、後手に飛車を戻されると4六金の攻める形がよくないので元の形に戻した。千日手の可能性が出てきた」とみる。盤上に注目が集まる中、2局連続の千日手が成立した。【丸山進、新土居仁昌】

 ◇指し手[先]永瀬 [後]藤井

<1>2六歩  (2)8四歩

<3>2五歩  (4)8五歩

<5>7六歩  (6)3二金

<7>7七角  (8)3四歩

<9>8八銀  (10)7七角成1

<11>同 銀  (12)2二銀

<13>4八銀  (14)3三銀

<15>4六歩  (16)6二銀

<17>7八金  (18)1四歩

<19>1六歩  (20)7四歩

<21>4七銀  (22)9四歩2

<23>9六歩  (24)6四歩

<25>3六歩  (26)6三銀

<27>3七桂  (28)5二金1

<29>6八玉2 (30)6二玉1

<31>6六歩2 (32)7三桂1

<33>7九玉1 (34)8一飛

<35>5八金2 (36)5四歩2

<37>8八玉2 (38)7二玉1

<39>5六銀2 (40)4四歩3

<41>4八金7 (42)5一金14

<43>2六飛31 (44)5二金24

<45>2九飛6 (46)6二金2

<47>2八飛3 (48)6一金4

<49>4五歩33 (50)5二金2

<51>4四歩7 (52)同 銀

<53>2四歩3 (54)同 歩

<55>同 飛1 (56)2三歩9

<57>2八飛31 (58)3三桂52

<59>4五歩30 (60)5三銀27

<61>4七金25 (62)4三金右41

<63>6八金7 (64)6二玉33

<65>7八玉5 (66)2一飛8

<67>4八飛48=封じ手 (68)8一飛30

<69>2八飛29 (70)2一飛24

<71>4八飛28 (72)8一飛

<73>2八飛2 (74)2一飛

<75>4八飛  (76)8一飛

<77>2八飛  

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