月面着陸に挑戦のアイスペース 最終段階で通信確立できず 不具合か

2025/06/06 04:56 

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 宇宙ベンチャー「ispace(アイスペース)」(東京都)は6日、同日午前4時過ぎに月面に着陸予定だった同社の着陸船「レジリエンス」について、通信が確立できていない状況だと明らかにした。詳しい原因を調べており、同日午前9時からの記者会見で詳細を発表するとしている。

 レジリエンスは25年1月に米国から打ち上げられ、5月に月を周回する軌道へ到達。この日は高度約100キロから徐々に降下を始め、主エンジンを逆噴射して減速し、月の北半球にある「氷の海」と呼ばれる地点への軟着陸を目指していた。順調に降下を続けていたが、最終段階で何らかの不具合が発生した可能性もある。

 アイスペースは23年4月の初挑戦で、高さ約5キロのクレーターの崖を通過した際、急激な高度変化をソフトが「異常」と誤認識したことが原因で機体が燃料を使い果たし、墜落していた。今回はソフトウエアを改修した上、着陸に向かうルートの月面が平たんであることを確認してから臨んでいた。

 ただ、月は地球の6分の1とはいえ重力がある一方、大気はほとんどなく、パラシュートも使えず軟着陸の難易度が高い。

 レジリエンスは最大30キロの荷物を運ぶことができ、今回はアイスペースの欧州法人が開発した小型探査車や、日本企業の実験装置など、計六つの荷物を積んでいる。

 民間企業による月面着陸は24年2月に米インテュイティブ・マシンズが成功。25年3月に米ファイアフライ・エアロスペースが続いており、アイスペースが成功すれば民間で日本初、世界で3社目となる。【信田真由美、菅沼舞】

毎日新聞

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