父の日やめて「家族の日」に 多様化に配慮 保育所など独自に設定

2025/06/06 06:00 

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 6月15日は「父の日」。ただ、保育所や幼稚園では「父の日」「母の日」のかわりに「ファミリーデー」「家族の日」を独自に設けるケースが増えている。

 ひとり親世帯の増加など、家族のあり方が多様化していることが背景にあるようだ。

 ◇「パパがいないのでありがたい」

 <一人一人の家庭に寄り添ってくれている感じがすごくうれしかった>

 <うちはパパがいないのでありがたい> 

 交流サイト(SNS)には、ファミリーデーに切り替えた園の対応に感謝するひとり親からの投稿が見られる。

 山口県宇部市の「あさひ保育園」は、3年前にファミリーデーに切り替えた。

 かつては、5月の「母の日」と6月の「父の日」に、園児たちと親の似顔絵入りキーホルダーやマグネットなどを手作りし、保護者に贈っていた。

 これをまとめて、二つの日の間をとった5月下旬に行う形にしている。

 新型コロナで行事や活動の変更を迫られたことをきっかけに、ファミリーデーへの切り替えを決めたという。

 あさひ保育園は「母子家庭だけでなく、父子家庭もいます。近年の家族状況の多様化を踏まえました。子どもたちはパパ、ママだけでなく、おじいちゃん、おばあちゃんや親戚、ママのお友達など、それぞれの大切な人にプレゼントを作っています」と説明する。 

 ◇子育て世帯の1割がひとり親

 厚生労働省の調査によると、ひとり親家庭は1993年の94万7000世帯から、2003年には1・5倍の139万9000世帯に増加した。以降は130万~140万台で推移し、21年は134万4000世帯。子育て世帯の約1割がひとり親家庭だ。

 全国展開している保育所「ポピンズナーサリースクール」でも、ファミリーデーや「家族の日」を設ける園が複数あるという。5月下旬や6月にプレゼントを作ったり、家族の写真を掲示したりする。

 ◇園によって対応さまざま

 一方で、「父の日」「母の日」を続ける園もある。SNSではひとり親がこんな声も投稿している。

 <父の日に私(母親)の似顔絵や手紙をつくってくれた>

 <(自分はひとり親だが)気を使って少数派の家庭に合わせず通常の形でやってほしい>

 さまざまな受け止め方があり、保育所や幼稚園でも対応が分かれているようだ。

 ◇店舗や図書館も「家族の似顔絵」展示

 商業施設や図書館などでも、従来「母の日」「父の日」に子どもが描く親の絵を展示していたところで、「家族の絵」としてまとめて展示する動きがある。

 東京都大田区の区立大森南図書館では、23年から「家族の似顔絵展示会」に統合した。来館した子どもたちが描いた家族の絵を5~6月に展示している。

 担当者は「今はいろんな家族の形がある、ということで変更した」と話した。【尾崎修二】

毎日新聞

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