アイスペース、月面着陸は「失敗」 着陸直前に減速できず衝突か

2025/06/06 09:43 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 宇宙ベンチャー「ispace(アイスペース)」(東京都)は6日午前9時過ぎから記者会見を開き、同日未明に月面に着陸予定だった同社の着陸船「レジリエンス」について、最終段階で通信が確立できなくなり、ミッションは失敗したと明らかにした。着陸直前に十分に減速できず、月面に衝突したとみられるという。

 袴田武史・最高経営責任者(CEO)は「通信の回復が見込まれず、月面着陸の達成は困難だと判断した」と述べた。民間で日本初の月面着陸を目指したが、23年4月の初挑戦に続き失敗に終わった。

 レジリエンスは25年1月に米国から打ち上げられ、5月に月を周回する軌道へ到達。この日は高度約100キロから徐々に降下を始め、主エンジンを逆噴射して減速し、月の北半球への軟着陸する予定だった。

 アイスペースは23年4月の初挑戦で、高さ約5キロのクレーターの崖を通過した際、急激な高度変化をソフトが「異常」と誤認識したことが原因で機体が燃料を使い果たし、墜落していた。今回はソフトウエアを改修した上、着陸に向かうルートの月面が平たんであることを確認してから臨んでいた。

 ただ、月は地球の6分の1とはいえ重力がある一方、大気はほとんどなく、パラシュートも使えず軟着陸の難易度が高い。

 レジリエンスは最大30キロの荷物を運ぶことができ、今回はアイスペースの欧州法人が開発した小型探査車や、日本企業の実験装置など、計六つの荷物を積んでいた。

 民間企業による月面着陸は24年2月に米インテュイティブ・マシンズが世界で初めて成功。25年3月に米ファイアフライ・エアロスペースが続いている。アイスペースは民間で日本初の月面着陸を目指していた。【信田真由美、菅沼舞】

毎日新聞

社会

社会一覧>