日本最古の仏舎利埋納例に迫る 飛鳥寺跡の容器を復元 奈文研など
2026年夏の登録を目指す世界文化遺産候補「飛鳥・藤原の宮跡」の構成資産、飛鳥寺跡(奈良県明日香村)で、6世紀末に仏塔下に埋納された仏舎利容器を奈良文化財研究所(奈文研)の石橋茂登・飛鳥資料館学芸室長らの研究グループが復元した。朝鮮半島の古代国家「百済」製とみられ、約70年前に出土した容器の破片を基に復元。日本最古の埋納例に迫り、飛鳥時代の仏教伝来を物語る研究として注目される。3月刊行の「奈文研論叢(ろんそう)」第5号で発表した。
仏舎利は仏教開祖・釈迦の遺骨で、インドでの仏教発祥時は最も重要な信仰対象だった。復元仏舎利容器は直径6センチの球形容器の下に花弁形台座が付属する金銅製。奈文研の1957年飛鳥寺跡発掘調査で、塔の礎石跡の地下から出土した金属片約250点を基に復元した。日本書紀には593年、飛鳥寺に仏舎利を埋納したと記されており、7世紀の法隆寺五重塔仏舎利より古く、容器が完全な形で出土すれば国宝級だった。仏舎利そのものは見つかっていない。
仏舎利は紀元前3世紀ごろのインドで、美しい容器に入れた上で土を盛上げた墳墓「ストゥーパ」に埋納された。その墳墓は、中国を経て古代日本に伝来した時には五重塔や三重塔など木造の塔に変化した。一方、現代仏教で信仰の中心になっている仏像は、紀元前後から中央アジアのガンダーラ地方(現パキスタン)で作られた。
仏舎利と仏像は日本には6世紀、ほぼ同時に百済から伝来。日本最古の本格寺院とされる飛鳥寺は、仏像を安置する三つの金堂が仏舎利を納めた仏塔を取り囲む独特の伽藍(がらん)配置。仏教受容期には仏像よりも仏舎利を重要視していたことが分かる。
飛鳥寺は仏教推進派の蘇我馬子が氏寺として建設を始めて596年完成した。平城京遷都(710年)後も「本元興寺」として存続したが、荒廃して室町時代ごろには廃寺同様になった。仏塔は創建から約600年後、鎌倉時代の建久7(1196)年に焼失。翌年に東大寺僧の弁暁らが塔跡から仏舎利100粒余などを掘り出したと記録されている。
仏舎利は当時、塔跡に再埋納されたとみられ、奈文研の1957年調査では、6世紀末の容器片の他に、鎌倉時代の容器(高さ3・3センチ)も出土している。2023年、奈文研がコンピューター断層撮影(X線CT)をしたところ、遺骨でなくガラス玉が入っていることが判明している。
石橋室長は「一部の破片を基にした研究なのであくまで復元案だが、仏教受容期の仏舎利埋納の具体像を示すことができた」と話している。【皆木成実】
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