利用低迷の旅客船 大人最大64%値下げへ 万博会場結ぶ3航路

2025/06/23 17:39 

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 大阪・関西万博の会場がある夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)と、大阪市や堺市を結ぶ3航路を運航する「ユニバーサルクルーズ」(同市北区)は7月1日から、大人運賃を最大64%、子ども運賃(3~12歳)を最大73%の値下げに踏み切る。3航路の乗船率は平均で2割前後と低迷し、割高な運賃がネックになっていた。運賃の大幅値下げに加え、同日からダイヤを改正して夢洲発の最終便の出発時間を遅らせ、集客の増加を狙う。

 同社は万博の開催期間中、夢洲と結ぶ3航路を運航する。中之島ノースゲート(中央卸売市場前港、大阪市福島区)発着便は所要約40分で、大人3300円(子ども1700円)▽ユニバーサルシティポート(同市此花区)発着便は所要約20分で、大人2800円(同1400円)▽堺旧港(堺市堺区)発着便は所要約30分で、大人3800円(同1900円)。

 新運賃は、大人の往路が中之島ノースゲート発2400円▽ユニバーサルシティポート発2000円▽堺旧港発2800円――で、夢洲発の復路は往路の半額に設定する。子どもの新運賃は、往路を一律1000円、復路を一律500円に値下げする。同社は「乗ってもらえる機会が増える。夏休みを控え、子ども連れの乗客の増加に期待している」と説明した。

 また、日本国際博覧会協会(万博協会)は、航路の利用促進策として29日から乗船者を対象に西ゲートに優先レーンを設け、午前10、11時台の入場予約者はそれぞれ1時間前に入場できるようにする。夢洲の桟橋の利用時間は現行より1時間延長して午後10時までにする。同社は7月1日からダイヤ改正し、夢洲発の最終便の出発時間を遅らせるほか、一部で増便する。同社は「万博会場に長く滞在でき、夜間のイベントも楽しめるようになる」とアピールする。

 堺市の永藤英機市長は、航路の利用低迷について記者会見で「利用が増えれば堺旧港や堺駅周辺の魅力アップにつながる。今の状況は残念に思う」と述べた。市によると、堺旧港では航路の開設に合わせ、仮設桟橋の整備費用などに府大阪港湾局が4500万円、堺市が1500万円を負担し、桟橋の使用料を免除している。

 今月中旬に堺旧港発の便を家族3人で利用した堺市の男性会社員(39)は「3歳の長女と一緒に船からの景色を楽しみたい。あまり混雑しない万博会場の西ゲートから入場できるのは魅力的だと思った。運賃はちょっと高い。万博会場までのバスと同程度の運賃になれば利用しやすい」と話した。【中村宰和】

毎日新聞

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