玄海原発を飛んだ? 軍事利用で進歩のドローン 官邸への侵入事例も

2025/07/27 14:11 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県)で26日夜、ドローンとみられる三つの光る物体が確認された。国内ではドローンによる配送サービスの実現が目前に迫るなど生活に浸透しつつあるが、テロに利用される危険性も指摘されている。実際に首相官邸や自衛隊などの重要施設に侵入した事例もあり、法規制が強化されている。

 そもそもドローン技術の進歩は、軍事利用とともにある。

 1970年代から偵察用途でのドローンの開発が進み、90年代には軍用ドローンが実戦投入された。91年の湾岸戦争で「パイオニア」の名で知られる偵察用ドローン「RQ-2」が登場し、利用が本格化。2001年のアフガニスタン戦争で初めて武装ドローンが運用された。

 16~17年には、過激派組織「イスラム国」(IS)がイラク北部で小型爆弾を積んだドローンによる攻撃を多用した。南米ベネズエラでも18年8月、マドゥロ大統領の演説中にドローンが上空で爆発し負傷者が出るなど、テロを含むドローン攻撃への対応は国際的な課題となっている。

 日本でドローンの脅威が現実のものとなったのは15年4月、首相官邸屋上で未確認のドローンが発見されたことだった。ドローンには放射性物質を含む土砂が入った容器や発炎筒などが搭載されており、威力業務妨害容疑で逮捕された男性は「反原発を訴えるために飛ばした」と供述したという。

 この事案を受けて16年3月、「小型無人機等飛行禁止法(ドローン規制法)」が議員立法で成立した。「ドローンを使った上空からのテロ」に備え、国会議事堂や首相官邸、皇居などの重要施設、外国公館、原子力事業所周辺では、管理者の同意がない場合は飛行禁止とし、違反した場合の罰則を設けた。19年5月に改正され、自衛隊や米軍施設の上空も飛行禁止となった。

 ドローンの侵入事例は他にもあり、17年5月には尖閣諸島(沖縄)周辺の領海に侵入した中国海警局の船の上で、ドローンとみられる物体1機の飛行が確認された。海上自衛隊はF15戦闘機など4機を緊急発進(スクランブル)させて警戒にあたった。

 24年7月には静岡県御前崎市にある、航空自衛隊の御前崎分屯基地の上空でドローンを飛行させたとして、会社役員の男性が摘発された。男性の目的は基地近くの風景撮影だったという。【最上和喜、木原真希】

毎日新聞

社会

社会一覧>

写真ニュース