教育活動家・高野雅夫さん死去 85歳 記録映画「夜間中学生」製作

2025/07/27 14:22 

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 夜間中学増設運動を主導した高野雅夫(たかの・まさお)さんが26日、老衰のため死去した。85歳。通夜、葬儀は遺志で行わない。後日、関係者でしのぶ会を開く。喪主は次男大(だい)さん。

 旧満州(現中国東北部)で生まれ、戦争孤児となった。福岡・博多や東京・山谷などを転々とし、17歳で初めて文字を覚え、21歳のとき東京都荒川区立第九中夜間学級に入学した。

 卒業後の1966年、行政管理庁(当時)が夜間中学の早期廃止を勧告すると、母校を舞台にした記録映画「夜間中学生」を製作。フィルムを担いで全国を行脚し、社会の不条理から「奪われた文字と言葉を奪い返す場」として、その重要性を訴えた。

 68年には大阪の街頭で入学希望者を集めるビラを配布、大阪市教委へ働きかけて翌年の天王寺中夜間学級開設を実現させた。高齢になっても情熱は衰えず、全国の夜間中学卒業生らの支援を受けながら声を上げ続けた。

 近年、不登校や海外にルーツを持つ生徒の増加で夜間中学が再評価され、2016年に夜間中学の充実を求める教育機会確保法が成立するなど、全国での増設の礎を築いた。

毎日新聞

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