富雄丸山古墳に副葬された中国鏡 製造から埋葬まで最大400年
奈良市の国内最大の円墳、富雄丸山(とみおまるやま)古墳(4世紀後半、直径109メートル)の木棺から2023年度の発掘調査で見つかった「三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)」などの銅鏡3枚を調べたところ、いずれも古墳築造の約400~100年前に作られた上質の中国鏡と判明した。
銅製品の流通を掌握していたヤマト王権からもたらされたと考えられるが、長期間にどのような流通経路をたどって渡来し、保管され、被葬者の棺に納められたのかは不明。30日発表した奈良県立橿原考古学研究所と奈良市教育委員会は「王権は有力者の実力や王権との距離に応じて大小の銅鏡を配り分けており、富雄丸山古墳の被葬者との関係の強さをほうふつとさせる」と評価している。
3枚のうち三角縁神獣鏡は3世紀中ごろ、魏で作られた「陳氏作六神三獣鏡(ちんしさくろくしんさんじゅうきょう)」というタイプで直径21・6センチ。このタイプは大王墓との指摘がある桜井茶臼山古墳(奈良県桜井市、3世紀末)などから、同じ鋳型で作られた「兄弟鏡(同笵鏡(どうはんきょう))」が見つかっている。
他の2枚は、紀元前1世紀末~後1世紀初めに前漢で作られ、ウズベキスタンやロシアでも出土例がある「虺龍文鏡(きりゅうもんきょう)」(直径19・1センチ)▽2世紀末~3世紀前半、後漢で作られたとみられる「画像鏡」(直径19・6センチ)。
桜井茶臼山古墳は全長204メートルの前方後円墳。三角縁神獣鏡26枚を含む国内最多の103枚の銅鏡が出土し、絶大な権威がうかがえる。富雄丸山古墳に、桜井茶臼山古墳の三角縁神獣鏡の「兄弟鏡」が副葬されていたことは、両者に何らかの関係性があったことを物語る。
富雄丸山古墳からは22年度の発掘調査で、国内最大で類例のない「鼉龍文(だりゅうもん)盾形銅鏡」(4世紀後半、長さ64センチ、幅約31センチ)や古墳時代の鉄剣では東アジア最大の「蛇行(だこう)剣」(全長237センチ、幅約6センチ)が出土している。
福永伸哉・大阪大名誉教授(考古学)は「二つの古墳に約100年の年代差があることが重要だ。銅鏡3枚をすぐに副葬しようと思うほど親密ではないものの、数世代後には墓に入れてもよいと思えるような、緊張感も交えた間柄だったのではないか」と話している。
3銅鏡は8月1~17日、奈良県橿原市の県立橿原考古学研究所付属博物館(0744・24・1185)で初公開される。【皆木成実】
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