「戦争終結と核廃絶」の願い乗せ… 浦上天主堂で復元の鐘の音響く

2025/08/09 11:10 

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 長崎市の浦上天主堂では9日、原爆で壊れ、米カトリック信徒らの寄付で被爆80年に合わせ復元された小鐘が、原爆がさく裂した時刻の午前11時2分に鳴り響いた。

 爆心地から約500メートルの地点にあった旧天主堂は、壊滅的な被害を受けた。南側の塔にあった大鐘は、がれきの中から掘り起こされ、再建後の天主堂に取り付けられたが、北側の塔の小鐘は大破し、80年間失われたままになっていた。

 小鐘の寄贈を申し出たのは、原爆開発の「マンハッタン計画」に参加した医師を祖父に持つ米ウィリアムズ大のジェームズ・ノーラン・ジュニア教授(62)。長崎を訪れた際に市内に住む被爆2世でカトリック信徒の森内浩二郎さん(72)と出会い、「米国のカトリック信者が鐘を贈ってくれたらどんなに素晴らしいだろうか」と提案を受けた。

 賛同したノーラン教授は米国各地で講演を開催。カトリック信徒ら600人以上から寄付を集めた。協力者から「戦争終結と核兵器の廃絶を願って二つの鐘が鳴り響きますように」などと世界情勢に思いをはせたメッセージも寄せられた。

 被爆前とほぼ同じ大きさやデザインで復元された小鐘は5月に天主堂でお披露目され、後に「希望の聖カテリの鐘」と命名された。

 午前11時2分、北側の塔に設置された小鐘が鳴ると、続いて南側の塔から大鐘の音が加わった。80年ぶりにそろった大小の鐘は、ノーラン教授や森内さんらに見守られ、長崎の街に荘厳な音を響かせた。【日向米華】

毎日新聞

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