第1四半期決算がピーク 「相互関税」影響、業種や企業で明暗
上場企業の2025年4~6月期決算発表が8日、ピークを迎えた。自動車関連企業を中心にトランプ米政権による「相互関税」が重荷となり、最終(当期)利益の合計は第1四半期としては3年ぶりに減益となった。日米両政府が関税率15%で合意したことを受け、26年3月期の業績予想を見直すケースが相次いだが、上方修正、下方修正のどちらもみられ、業種や企業ごとに明暗が分かれた。
SMBC日興証券の集計によると、7日までに決算発表を終えた、東証株価指数(TOPIX)を構成する上場企業823社(集計対象の約71・8%)の25年4~6月期の最終利益は計11兆2773億円で、前年同期比10・2%減だった。第1四半期が減益となるのはロシアによるウクライナ侵攻が始まった直後の22年以来だ。
最終利益を業種別でみると、4月に発動された25%の自動車への追加関税と円高が重しとなった自動車関連を含む「輸送用機器」は42・1%減の1兆3974億円。輸出企業の多い製造業全体も22・7%減の4兆7168億円だった。
一方、人工知能(AI)の普及に伴う半導体需要に支えられた「電気機器」は18・2%増の1兆4310億円。「情報・通信業」は83・8%増の1兆2588億円で、傘下のファンドを通じた投資事業が好調だったソフトバンクグループが業種全体を押し上げた。
26年3月期の業績予想は、5月時点では前期比3・8%減を見込んでいたが、今回は6・9%減の50兆1910億円と減少幅が拡大した。関税交渉が合意に至り、通期予想を上方修正した企業は53社、下方修正した企業は24社と分かれた。
関税の影響が目立ったのが自動車だ。7日までに決算を発表した大手7社が5月時点で見込んだ関税影響額は計1兆7000億円程度だったが、今回約2兆7000億円に膨らんだ。
自動車関税が15%に下がる前提で見積もり、ホンダや日産自動車は影響額が縮小した一方、これまで未公表だったマツダが新たに影響額を公表。トヨタ自動車も4~5月分で1800億円としていた影響額が通期で1兆4000億円になると発表し、7社合計の影響額も拡大した。「関税率が15%に引き下げられた影響は大きいが、非常に厳しい結果であることは変わりない」(トヨタの東崇徳経理本部長)との認識は、各社に共通している。
これに対し、ソニーグループは、生産拠点の分散化など「関税対応策を進めた」(陶琳最高財務責任者)として影響額を圧縮。最終利益予想を400億円引き上げ9700億円に上方修正した。
SMBC日興証券の安田光チーフ株式ストラテジストは、4~6月期決算は「想定以上に悪い決算ではない」としたうえで、通期予想については「関税の影響があっても、販売が想定以上に落ちない場合は前年並みになる可能性もある」と指摘している。【秋丸生帆、鶴見泰寿】
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