鹿児島に今年初の大雨特別警報 姶良で民家倒壊、30代女性安否不明

2025/08/08 20:32 

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 九州地方に停滞する前線の影響で、九州南部は8日未明から記録的な大雨となった。気象庁は8日午前1時過ぎと午前5時前、鹿児島県に線状降水帯が発生したと発表し、同県霧島市に今年初となる大雨特別警報を出した。その後、大雨警報に切り替えたが、霧島市や同県姶良市では市街地で広範囲に浸水し、姶良市では民家が倒壊して1人が安否不明となった。

 前線は今後しばらく停滞する見通しで、東日本から西日本にかけて警報級の大雨となる恐れもあり、気象庁は土砂災害に気をつけるよう呼び掛けている。

 気象庁によると、霧島市では8日午前8時までの24時間雨量が515・5ミリを記録。1カ月雨量(8月平均)の1・6倍以上で、同地点では観測史上最大だった。

 姶良市消防本部などによると、8日午前4時45分ごろ、姶良市蒲生町の民家から「家の中に閉じ込められている」と119番があった。消防が倒壊した民家から女性2人を救出して病院に搬送。いずれも意識はある。一方で住人の30代女性と連絡が取れておらず、消防などが捜索している。

 霧島市では橋を渡っていたトラック2台が橋の下に転落し、50代の男性2人がけがをしたが命に別条はない。また、同市では土砂崩れで民家が倒壊したが、住人の70代女性は避難所に逃げており無事だった。

 霧島市の「県民の森」のキャンプ場では周辺道路が落石や崩落で寸断され、コテージを利用していた子ども24人を含む40人が一時孤立したが、徒歩やバスで避難してけが人はなかった。

 姶良市の建設会社専務、岩下裕一さん(41)は8日朝、川沿いの道路が信号機ごと崩落している様子を目の当たりにしたといい、「これほどの豪雨は初めて。山も崩れやすくなっているので心配だ」と話した。

 交通にも影響があり、鹿児島空港(霧島市)の発着便の多くが欠航したほか、JR九州は鹿児島、宮崎両県を中心に日南線や吉都線、日豊線などの一部区間で終日運転を見合わせた。

 鹿児島県は8日、霧島市に災害救助法を適用したと発表した。

 九州南部では9日夕にかけ再び非常に激しい雨が降る見込み。9日午後6時までの24時間の予想雨量は、いずれも多いところで九州南部200ミリ▽九州北部120ミリ▽北海道、東北、関東甲信、北陸60ミリ。【田崎春菜、高芝菜穂子、平川昌範】

毎日新聞

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