<限界大学>夜間大の学生、ピークから2割弱に 社会人減り、募集停止相次ぐ

2025/08/16 12:00 

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 大学の夜間学部に通う学生が減少の一途をたどっている。学生数はピーク時の2割弱に減り、夜間学部を設置する大学も半減した。高卒社会人の減少や通信教育、オンライン教育の普及により定員割れが相次ぎ、募集を停止する学部が増えている。

 夜間学部はかつて、日中に社会人として働く「勤労学生」の受け皿として、横浜国立大や青山学院大、同志社大などの有名大学にも設置されていた。早稲田大は俳優の吉永小百合さん(第二文学部卒)やタレントのデーモン閣下さん(社会科学部卒)などの有名人も数多く輩出し、あえて夜間学部(2部)の合格を目指す受験生もいた。

 学校基本調査によると、1975年度にピークの約13万5000人が夜間学部(大学院含む)に通っていた。しばらく12万人前後で推移していたが、大学進学率の上昇やリーマン・ショックの影響で2000年代に急減。近年は社会人の学びの受け皿として通信教育やオンライン教育が普及し、24年度は約2万3000人とピーク時から10万人以上減った。

 夜間学部(コース)を設置する大学は05年度に最多の114大学(大学院含む)に上ったが、大学再編などで廃止が相次ぎ、24年度には半数近い58大学に減少。国公立大は42大学から28大学に減った。

 滋賀大は、25年度から定員50人の「夜間主コース」の募集を停止した。主に社会人の再教育を目的に1993年に設置されたコースだが、近年は社会人枠で定員割れが続き、学生の大半が社会人ではない一般学生で占められていたという。

 岡山大も法学部(定員20人)、経済学部(40人)の「夜間主コース」の募集を26年度から停止する。社会人は1割に満たなかったという。国公立大ではこのほか、茨城大の工学部機械システム工学科、富山大の経済学部で24年度に募集停止した。

 一方、夜間学部を置く私立大は05年度の72大学から半数以下の30大学になった。ただ、24年度の学生の数は国公立大の3倍近い約1万7000人で、規模の大きい大学が学生数を維持しているとみられる。【西本紗保美】

毎日新聞

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