地球の反対側でつながった 日系3世と「ヒロシマ」 衝撃と決意
ヒロシマを語り継ぐリレーが被爆80年の今夏、地球の反対側でつながった。
南米パラグアイで活動していた国際協力機構(JICA)の海外協力隊員と、日系3世の女子高校生。ともに広島にゆかりがあり、隊員の発案で前年に現地で開かれた「原爆展」に参加した生徒が、家族と原爆の関わりを知り「引き継ぎたい」と名乗りを上げた。
◇現地の人と学ぶヒロシマ
広島市出身でJICA隊員だった只野杏奈さん(31)は2023年春から2年間、パラグアイ南部の日系人が多く住む地域に派遣され、日本語学校などで活動した。
広島県出身の隊員は、原爆を題材に平和を考える企画展を各国で開催している。中国地方5県を所管するJICA中国は事前研修に平和学習を取り入れ、開催に必要な資料を送るなど支援する。04年に中米ニカラグアで始まり、これまでに70カ国で220回以上開いてきた。
現地の人たちとヒロシマを共に学ぶ「草の根」の協働で、只野さんは「自分も『平和の大切さを伝える活動をしたい』という思いがありました」と言う。
24年夏以降、現地の日本人会などの協力を得て4カ所で原爆展を開催した。原爆被害や戦争の歴史についての講話や写真などを紹介したほか、参加者と折り鶴を一緒につくった。日本語とスペイン語で、平和の寄せ書きも集めた。
◇初めて知った原爆との関わり
その会場を訪れたのが、高校生の河野錫(すず)さん(17)。82歳の祖父は広島県北の北広島町からの移民で地元の県人会長だが、自身は「広島に行ったこともない。アイデンティティーを感じることもなく、これまで広島について聞かれても答えられませんでした」と振り返る。
日本語学校の校長を務める母に紹介されて、原爆展に行った。只野さんの話を聞き、展示資料に見入った。
帰宅して祖父と話をして初めて知ったことがあった。曽祖母は原爆投下直後に広島市内に入った入市被爆者で、パラグアイに移住した後に白血病で亡くなった。
「原爆は自分に関係のない話じゃなかったんです」。その衝撃もあり、別会場であった原爆展も2回訪ねた。自身のルーツについて話す機会もあり、同級生らも参加して企画は盛り上がった。
◇引き継がれた「原爆展」
「私は小石を投げたつもりが、どんどん波紋を広げてくれました」
手応えを感じた只野さんは今春、任期を終えて帰国した。「河野さんが『私が引き継ぐよ!』と言ってくれたんです、うれしかったですねえ……」
広島と長崎が原爆投下から80年を迎えた今月、アルゼンチン国境に近い都市フラムで、「原爆から考える平和」と題した企画展が開かれた。
フラムへの日本人移住70年を記念して現地の日本領事事務所などが主催し、学生を含む市民ら400人以上が来場した。河野さんがスピーチをすると、会場は静まりかえったという。
初めて折り鶴を見た現地の人たちは、不器用ながらも熱心に取り組み、用意した折り紙500枚が尽きた。完成した千羽鶴はJICAを通じて広島に送り、平和記念公園に奉納してもらう。
「一人一人がつながっていけば大きくなり、平和な世界になるはず」という思いを深めた河野さんは、いつか広島を訪ねたいという。只野さんは「そのときは案内しますね」と声を弾ませた。【宇城昇】
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