万博の帰宅困難者問題 事務総長が陳謝 情報提供や誘導など検証

2025/08/18 20:49 

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 大阪・関西万博の会場で13日夜から14日朝にかけて多数の客が帰宅できなくなった問題で、日本国際博覧会協会(万博協会)の石毛博行事務総長は18日の記者会見で「お客様だけでなく多くの方々に大変なご迷惑をおかけし、申し訳なく思っている」と陳謝した。情報提供や一時滞在施設への誘導などを検証し、改善すると明言した。

 13日午後9時半ごろ、万博会場がある人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)に乗り入れる大阪メトロ中央線で停電が発生。夢洲―長田(東大阪市)間の全線で運転を見合わせた。約40分後に夢洲駅と、対岸のコスモスクエア駅(大阪市住之江区)との間で折り返し運転を始め、14日午前5時25分に全線で運転を再開した。会場一帯では一時、約3万人が足止めされた。パビリオン内や大屋根リングの下で夜を明かしたり、体調不良を訴えたりする人も出た。

 万博協会は夢洲駅での雑踏事故を防ぐため、会場へ戻るよう客らを誘導した。大阪メトロが夢洲―コスモスクエア間で折り返し運転を始めた後も、しばらく会場内でアナウンスをせず、客からは情報提供に不満の声が出た。石毛氏は「混乱を避けることが、その時点での私たちの大きな目的となっていた」と釈明した。

 地下鉄のトラブルを「災害時に準じた対応」と位置づけたにもかかわらず、万博協会が帰宅困難者らに飲料水を配ったのは、トラブル発生から6時間半も過ぎてからだった。「もっと早く配れなかったかと思っている」と遅れを認めた。

 一時滞在施設の開放について、どのパビリオンや休憩所を優先的に開放するか事前に決めていなかったことも明らかにした。石毛氏は「順番付けをしておいた方がスムーズかもしれない」との見解を示した。

 ◇大阪府は情報発信などで提言書

 一方、大阪府は17日、情報発信や帰宅困難者への対応に関する提言書を万博協会に提出した。吉村洋文知事が18日、報道陣の取材に明らかにした。

 提言書によると、大阪メトロの運行情報や会場内の開放施設など帰宅困難者の目線でのアナウンス▽中央線が運転を見合わせた瞬間に(夢洲駅に近い)東ゲートを封鎖する▽障害者向け駐車場や、夢洲に隣接する舞洲のパーク・アンド・ライド駐車場を開放し、マイカーでの迎車を認める▽舞洲などへの徒歩移動を解禁する――など11項目を挙げた。

 吉村氏は「同じ事態が起きることがあり得る。万博協会は意見や提言を取りまとめて、早々に改善策を公表すべきだ」と話した。

 府がマイカーでの迎車などを提案したことについて、石毛氏は18日の会見で「安全にできるのか、しっかり検証をする必要がある」と述べ、慎重な姿勢を示した。【岡崎英遠、長沼辰哉】

毎日新聞

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