大阪・ミナミのビル火災 外壁の広告伝い延焼か 市消防局が推定

2025/08/21 19:40 

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 大阪・ミナミで隣り合った2棟の雑居ビルが焼損し消防隊員2人が死亡した火災で、大阪市消防局は21日、2棟のうちの6階建てビルから出火した火が外壁の広告物を伝い、隊員らが活動中だった隣のビルに延焼したとの見方を示した。6階建てビルの屋外に設置された室外機付近が激しく燃えており、大阪府警と市消防局は火元の可能性があるとみて詳しく調べる。

 火災は18日午前10時前に発生。道頓堀川に面する6階建てと7階建てのビルの計約100平方メートルが焼けた。府警と市消防局は出火原因を特定するために19日から現場検証を始めている。

 市消防局によると、2棟のビルの外壁には入居店舗を知らせるものなど、大小の屋外広告が複数設置されていた。いずれの建物も外壁が広範囲に焼損しており、6階建てのビルから出火した火が広告物を伝い、上層階や隣の7階建てビルに燃え移った可能性があるという。

 2棟のビルは一部が内部でつながっており、亡くなった隊員2人は7階建てビルの5階で取り残された人の捜索や消火活動をしていたとされる。この最中に5階の天井が崩落して建物から退避できなくなり、窒息死したとみられている。

 市消防局は延焼した炎の熱で2人がいた5階の窓ガラスが焼損し、そこから内部に火が回ったと推定。天井には木材が使われていたことから焼け落ちたとみて経緯を調査する。

 捜査関係者などによると、火元とみられる6階建てビルは、1階の南側屋外に設置された室外機周辺が特に燃えていたことが確認された。入居店舗の関係者によると、この場所には各フロアの空調とつながる室外機が複数取り付けられていた。火災前には周囲に多数のごみも落ちていたといい、府警と市消防局が出火との関連を慎重に調べている。

 大阪市の横山英幸市長は21日の記者会見で、現場の屋外広告物が法令の基準に適合していたかを問われ、「設置申請はあったが、(現在の状況把握について)更新が一部遅れているものがある。大きさや素材などが適格だったか確認したい」と述べた。屋外広告は建築基準法や市条例で、面積や材質などが規制されている。

 一方、大阪市消防局は21日、隊員2人が死亡した原因などを究明する事故調査委員会の初会合を開いた。

 委員会は局内の幹部ら9人で構成。10月末までに中間報告を出した後、外部の有識者が参加する会議を経て年度内に報告書を取りまとめる予定という。【斉藤朋恵、大坪菜々美、川地隆史】

毎日新聞

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