未承認「がん遺伝子治療」に措置命令 カルタヘナ法、自由診療で初

2025/08/22 15:28 

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 厚生労働省と環境省は22日、がんの自由診療などを手がける「医療法人社団DAP北青山D.CLINIC」(東京都渋谷区)の阿保義久院長に、遺伝子改変した動植物が拡散することを防ぐカルタヘナ法に基づく措置命令をした。同法に基づく自由診療への措置命令は初めて。

 同クリニックは、同法に基づく必要な承認を受けずに、進行末期がん患者らに対して「がん遺伝子治療(CDC6shRNA治療)」と称する、遺伝子組み換え生物を使った製剤の治療を行っていた。患者への同意文書では「がん細胞に特異的に発生するCDC6というたんぱくを消去するための遺伝子を投与する」などと記載していた。

 両省は措置命令で、適切な方法で製剤を不活化させて廃棄したうえで報告し、再発防止のため法令順守を徹底するよう求めた。

 両省の聞き取りに対し、同クリニックはこの治療を2009年以降3000件以上実施し、被害の報告はないと答えたという。同法の施行は04年で、当初から違法状態だったことになる。厚労省によると、この治療の有効性や安全性について科学的根拠は確認されていない。治療に使っていた製剤は中国から阿保院長が個人輸入し、注射で患者に投与していたという。

 同クリニックはホームページでこの治療を一時停止し、改めて同法に基づく申請をすると説明している。【中村好見、宇多川はるか】

毎日新聞

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