「警察に誠意と危機感があれば…」川崎ストーカー事件、遺族憤り

2025/09/04 11:29 

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 神奈川県警が4日に公表した、川崎市のストーカー殺人事件の検証結果。県警の対応の不備を指摘し続けてきた、亡くなった岡崎彩咲陽(あさひ)さんの父鉄也さん(51)は「僕たちが言ってきたことが正しかったと認められただけで、何か状況が変わったわけじゃない」と突き放すように話した。

 県警側は1日に川崎臨港署で鉄也さんに報告書を渡し、その場で署長と本部の警務課長が約20分にわたって謝罪した。不適切な対応があったことを認め、「本来ならもっと早く謝罪すべきだった。このように遅くなったことを深くおわびする」などと伝えたという。

 一方、鉄也さんは「今さら謝られても、という気持ち。特に話すことはなかった」と振り返る。「やっぱり(適切な対応を)やっていなかったんだと、余計に腹が立つ」

 警察庁はストーカー事件で被害者の申し出がない場合でも、加害者に警告できるよう法改正の検討を始めている。鉄也さんは「もちろんいいことだ」としつつ、法改正は万能ではないと訴える。「娘の件に関しては法律うんぬんより、警察官たちの資質、気持ちの問題だ。担当者がもっと誠意と危機感を持っていれば、こんなことにはならなかったはずだ」とくぎを刺した。

 祖母の須江子さん(68)は自宅から岡崎さんがいなくなった後、LINE(ライン)で「何処(どこ)に、いるの」などと何度もメッセージを送ったが、返事は途絶えた。

 岡崎さんが行方不明になる前にインターネットで購入した衣類が自宅に届き、ひつぎに入れたが、一部は大事に取ってある。遺品を見るたびに、今も「助けてあげられなくてごめん」と心の中で語りかけるという。

 県警の謝罪について「(対応の誤りは)認めなきゃおかしい。少しずつ、一歩進んだなと思っている」と話した。【矢野大輝】

毎日新聞

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