脚1本ない猫の発見相次ぐ、虐待か 1年間で約10匹 愛媛・新居浜

2025/09/11 13:37 

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 愛媛県新居浜市で、脚1本がない野良猫が相次いで見つかっている。関係者によると、1年ほど前に目撃されて以降、合計約10匹に達しており、8月にも新たに脚1本がない猫が見つかった。愛媛県警新居浜署は、人為的な虐待や違法な狩猟用わなにかかった可能性などがあるとして捜査しているが、原因は不明だ。地元住民からは「不気味なので一刻も早く解決してほしい」と不安の声が上がる。

 脚のない猫が相次いで見つかっているのは、同市萩生地区周辺。1匹目は2024年7月ごろ、住民が見つけた。住民は「ピョンピョンと跳ねていたのでよく見ると、脚がなかった」と青ざめる。1カ月ほどかけて捕獲したところ、左の前脚が肘の辺りから骨ごと欠損しており、近くの動物病院で根元から切断する治療を受けた。命に別条はなかった。

 同地区付近ではその後も次々と脚のない猫を見かけるようになり、住民が今年4月に新居浜署へ通報。同署からは3日後に「事件性はない」と連絡があったが、その後も目撃情報が絶えなかったため、西条保健所生活衛生課に連絡。保健所も虐待の可能性があるとして同署に通報した。

 関係者によると、脚のない状態で見つかった猫は計約10匹。今年8月にも新たに1匹が見つかり、これまでに計3匹が治療を受けた。いずれも成猫で、脚4本のうち1本が切断されていた。切断部分は異なるが、骨ごと切断されている点は共通しているという。保健所は、イノシシやシカなどを捕獲する狩猟用のわなに誤ってかかった可能性があるとして、地元猟友会に確認したが、該当が疑われるわなの設置事例はなかった。同保健所の担当者は「野生動物に襲われた場合、首や腹などの急所を攻撃するはず。交通事故も考えにくい」と話す。

 猫を診察した西条市の獣医師は「こんな傷口はこれまでに見たことがない」と驚く。違法なわなにかかったとしても骨まで切断されることは考えにくいため、「虐待の可能性もある」との見解を示す。一方で、傷口から大量出血すれば絶命の恐れもあるため、「こんな大きなけがで生きているのが不思議。疑問点が多く、原因の見当がつかない」と首をかしげる。

 許可なく動物を捕獲したり禁止されているわなを使用したりした場合は鳥獣保護管理法違反に、動物をみだりに殺したり傷つけたりした場合は動物愛護管理法違反に問われる場合があり、罰則が科される可能性もある。

 狩猟を所管する環境省の担当者は「犬や猫が狩猟用のわなにかかった事例はある」とし、「誤ってかからないように違法なわななどは厳しく規制している」と説明。新居浜市内の狩猟の窓口になっている同市農林水産課の担当者は「近年は犬や猫がわなにかかったケースはない。今後も続くようであれば(注意などの)呼びかけをしていきたい」と話す。

 新居浜署は「詳細は差し控えるが、さまざまな可能性を視野に捜査している」とする。同保健所は、現場近くにポスターを掲示し、不審者や負傷猫を見かけた時はすぐに警察や保健所に通報するように呼びかけている。【広瀬晃子】

毎日新聞

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