「農家の苦労が報われる価格で」 コメ値上がりでJA福岡中央会会長

2025/09/22 21:07 

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 JA福岡中央会(福岡市)の乗富幸雄代表理事会長は22日、福岡県筑紫野市内で記者会見し、「令和の米騒動」と呼ばれる昨年来のコメの値上がりについて「今まで農家はずっと赤字で我慢してきた。苦労が報われる価格でお願いしたい」と述べた。

 会見でJA側は、コメの売り上げの一部を農家に前払いする「概算金」(仮払金)について、2025年産は県内で前年比3割超高く、さらに上がる可能性もあると説明した。概算金が上がれば価格も連動して引き上げられる可能性が高い。乗富会長は「石油も資材も値上がりしている。消費者に安定した価格で届けたいが、再生産が可能な価格でなければならない」と指摘した。

 さらに「政府も努力していると思うが、作り手の気持ちと机上の数字が乖離(かいり)している。作り手、国、流通の三位一体で的確な流通になるよう頑張りたい」と話した。

 会見に先立ち、JAは筑紫野市の収穫を控えた田んぼを報道陣に公開。農家でJA筑紫稲作部会長の藤井徳浩さん(65)は法人化による効率化や減農薬、減肥料の取り組みを進めてきた経緯を明かし、「皆さんは米価が高騰していると言うが、私たちにとっては30年前に戻った。肥料も燃料費も上がっている」と説明した。

 JAの直売所「ゆめ畑那珂川店」では20日から新米を販売しているが、正午ごろには売り切れる状況が続いているという。店の担当者は「新米の収穫が進み、銘柄が出そろい始めれば安定してお買い求めいただけるのではないか」と話した。【平川昌範】

毎日新聞

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