九州大雨被災の農家が求める「セーフティーネット」 自民総裁選

2025/09/22 20:51 

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 自民党総裁選が22日、告示された。7月の参院選から2カ月余りがたち、石破茂首相が退陣するかどうかで揺れた国政は政策が前に進まず、「政治空白」とも言うべき状況になっている。物価高に苦しめられている人、災害からの生活再建に取り組む人たちは、総裁選をどう見ているのか。

 8月に九州北部を襲った記録的大雨で、栽培していたミニトマトとキャベツに計約1500万円分の被害が出た福岡県福津市の農家、松尾光浩さん(44)は「災害があっても農家が農業を続けられるようなセーフティーネットをしっかり作ってほしい」と訴える。

 福岡県では8月の大雨で線状降水帯が複数回発生し、福津市付近に降った雨で記録的短時間大雨情報も出た。近くの用水路から水があふれ、37アールの農業用ハウス10棟が冠水。太もも付近まで水につかり、ミニトマト7000株とキャベツの苗6万株を失い、土壌も使い物にならなくなった。

 「保険が出ても、一部だけ。経済的にも精神的にも追い詰められて直後はパニックになった。使い物にならなくなった苗100万円分の支払いもある」とうつむく。

 ハウスを使った栽培は父の代から40年近く続けてきたが、2年前にも雨で被害を受けるなど、気候変動の影響は出ている。一方で、国や自治体の支援は追いついていないと感じる。防災や農業政策に通じているとされた石破首相も目立った成果を出せずにわずか1年で退陣に追い込まれ、失望に終わった。

 唯一の救いは「令和の米騒動」などを経て農業政策に関心が向かっていることだ。「これまで農業政策を放置してきたから現状がある。後継者が増え、農家が安心して農業を続けられる農業政策を打ち出してほしい」と求めた。【山口響】

毎日新聞

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